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違法賭博、軽い処分 世間と隔たり 相撲協会の判断基準に違和感

大相撲の前頭・英乃海と十両・紫雷が違法賭博に関与した問題で、日本相撲協会は27日、外部有識者などで構成するコンプライアンス委員会の答申通りに懲戒処分を決め、英乃海は出場停止1場所など、紫雷はけん責にとどまった。刑事事件として書類送検されながら、新型コロナウイルス感染対策のガイドライン違反で大関だった朝乃山が6場所、阿炎や竜電が3場所の出場停止だったことに比べて処分が軽く、協会の判断基準に違和感をぬぐえない。

 協会によると、英乃海は常習性がなく、賭け金も計10万円以下で少ないとされた。当時は英乃海の付け人として同行した紫雷は新十両だった初場所を休場し、社会的制裁を受けたとした。店を訪れた時期は昨年7月の名古屋場所後で、感染対策の外出禁止期間ではなく、反社会的勢力との関係も認められなかったという。

 一方、感染対策のガイドライン違反について、芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「違反者が感染し、万が一、場所に持ち込んだら、力士の生命を脅かしたかもしれず、本場所が中止になったかもしれない」と説明した。ただ、ガイドラインは協会の自主規制であり、それより「違法」は重くはないのか。

 大相撲では2010年にも野球賭博問題が発覚するなど、不祥事が後を絶たない。過去に協会のガバナンス(組織統治)整備に関わった慶応大の中島隆信教授は、協会の体質について「明確な基準がなく、執行部が世の中の空気をどう感じるかで処分を決める」と説明。今回の処分について「違法賭博は一般人からすれば『それは駄目でしょ』と思われる。そこの基準は(世間と角界で)少し違うかなと思う」と指摘した。