混浴文化は残せるか?マナー問題で減少 「かつて男女関係なく交流」


 寒さが厳しくなると恋しくなる温泉。数々の名湯がある北東北では混浴も多いが、全国的にはマナーの問題から減りつつある。性別に関係なく入りやすくし、混浴を文化として残そうと、新しい試みが始まっている。

 青森・八甲田山系の西麓(ろく)にある酸ケ湯温泉。160畳ほどの広さがあるヒバ千人風呂で昨年11月末、ある「実験」が行われた。男性は半ズボン、女性は肩が出るワンピースとズボンの「湯あみ着」を着て、入浴してもらうものだ。

 実験は、環境省東北地方環境事務所が企画した「10年後の混浴プロジェクト」の一環。千人風呂は混浴と女性専用の時間帯に分かれているが、混浴の時間帯に入る女性が少ないとの調査結果から、混浴への抵抗感を減らそうと考えた。

 だが全国的には混浴をなくす宿も少なくない。女性が入浴するのを待ち構える男らが出現したためで、その様子がワニに似ていることから温泉関係者の間で「ワニ族」と呼ばれる。公式の統計はないが、温泉家の北出恭子さんによると、混浴できる宿や共同湯は1993年に全国で約1200カ所あったが、2021年には約500カ所まで減ったという。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ10368TQ1FULUC004.html