大根おろしに起きたパラダイムシフト 燕三条の金属加工メーカーが取り組んだ9900円の名品「17°」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2201/31/news095.html
シゲル工業が目指した「究極のフワフワ感」と「ツユが出にくい」「洗いやすい」という点では、この片側にだけ刃を立てる構造がベストだった。
大根をおろし金の上で往復させるタイプだと、往復の過程で大根自体をつぶしてしまい、ツユが出やすくなってしまうのだという。
刃の立て方1つを取っても、高い方、つまり手前側の刃はやや寝かせ気味に、低い方、つまり奥の刃は立ててあるのだ。
これは、高い方から低い方へ押すことで大根をおろす、この片方向で使うおろし金ならではの工夫だ。
要するに、高い方、つまりおろし始めは速度が出ないから刃を立て、
低い方に向けて速度が上がるから刃を寝せることで、よりスムーズに均一におろせるというわけだ。
刃はV字状に並び、刃の目立ての根元から穴が空いている。
この形状のおかげで、おろした大根が水分を含んだまま落下し、結果、ツユが出にくくなる。
その刃も、大きなものから小さなものまで、6種類がランダムに配置されている。
「刃が大きいと、歯ごたえのある大根おろしができるんですよ。
でも大きいのばかりだと、今度は抵抗が大きくなって、おろしにくいし、
力を入れすぎて組織をつぶしたりしてしまうことがあるんです。
それで、大きさが違うものを入れてるんです」と、シゲル工業の創業者であり会長の藤田茂氏。
「どうして大根おろしはツユが出るんだろう、という疑問からスタートしました」と藤田会長。
さらに、現在は、プラスチック製のおろし金に対抗できる価格で作れないかということを考えていて、
かなり案も出てきたという。
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「17°」の刃の部分のアップ。片側にだけ刃が立っていて、刃の大きさが複数種類あるのが分かる
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