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東京23区の中で、最近「住みたい街」として人気が高まっているのが、
都心へのアクセスがよく、家賃なども手頃で暮らしやすい下町エリアだ。

下町を選ぶ若い世代が増えているというが、
『東京23区×格差と階級』の著者で早稲田大学教授・橋本健二さんの
データによると、65才以上の高齢者も、
台東、墨田、江東、荒川、北(東側)、足立、葛飾、江戸川に多いという。

「交通の便もよく、買い物も物価の安い商店街でできてコスパがいい。
昭和の頃ほどではありませんが、
地域コミュニティーに基づく共助・互助に富んだ地域でもあります」(橋本さん)

さらに、下町は“定住の街”としての魅力度も高い。
東京23区研究所所長で都市開発コンサルタントの池田利道さんはこう話す。

「長年住み続けている高齢者が多いというだけではありません。
子供や孫など、若い人たちが世代を超えて定住してくれることも多い。
つまり、高齢者を地域ぐるみでサポートしてくれるのです。
荒川区では、年に一度、地域の防災訓練で若者が
“お年寄りを背負って逃げる”という練習をしていますし、
足立区の一部の地域では、高齢者の家に夕方まで洗濯物が干してあると、
近所の人がインターホンを押して様子を見に来る習慣があるなど、
下町には高齢者が住みやすい地域が多い」

そして、下町を語る上で欠かせないのが“治安”。
実は、23区で最も治安がいいのは足立区なのだ。

「確かに、不良少年犯罪は足立、荒川、墨田と、下町エリアに集中しています。
ただし、9割は喫煙や深夜徘徊といった“被害者がいない犯罪”、
つまり未成年がたむろしているといったたぐいのものに過ぎません。
“不良少年を見て見ぬふりするのが山の手の人、通報する世話好きが下町の人”
とも考えられます」(池田さん)

事実、2019年の刑法犯発生数を見ると、
1位の新宿区の次は、なんと世田谷区で、件数は5221件。

下町で最も刑法犯発生数が多い足立区でも4764件と、実に500件近く差がある。

「治安は犯罪発生件数だけではなく、区の広さも加味した
『犯罪発生密度』で見るのが妥当。
それを踏まえると、本当に治安がよくないのは渋谷区、新宿区、豊島区、台東区などで、
足立区は刑法犯罪発生数こそ多いものの、23区で最も犯罪発生密度が低いのです」(同前)

都民も知らない、東京の知られざる一面があるようだ。
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