月面での植物栽培に向けた「重力発生装置」に関する研究を明大などが開始
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20220201-2262834/
明治大学(明大)とデジタルブラストは1月31日、月面での植物栽培に向けた「重力発生装置」を開発するための要素技術に関する共同研究契約を締結したことを発表した。

明大農学部の佐藤直人助教、同・尾浩助教授、明大 黒川農場の小沢聖特任教授らの研究チームとデジタルブラストが、共同研究を実施していくことになる。

日本も参加するNASAのアルテミス計画は、2022年1月時点で有人月面探査計画を2025年以降としているが、アルテミス計画では、有人月面探査に加え、月を周回する有人拠点ゲートウェイや、2020年代後半にはその後の有人火星探査に向けた月面拠点などの建設などが計画されている。

しかし月はまだしも、火星へ人が向かうとなると、技術的に解決する必要がある課題も多く、その1つとして食料の確保がある。実際に、宇宙で植物栽培を行うとしても、まだよくわかっていないことも多い。植物の微小重力環境下での栽培実験は、これまでも国際宇宙ステーション(ISS)などで行われてきており、植物の生育に影響が出ることも報告されていることから、何らかの新たな技術を開発して植物栽培を実現することが求められることとなっている。

また、火星での滞在期間中に、現地の活動拠点にて植物栽培を試みようとしても、地球のおよそ1/3という低重力環境であり、そこで地球と同様に栽培ができるかという点も、まだよくわかっていない。

そうしたことから、近年、装置を回転させることで遠心力を発生させ、地球上においても擬似的に重力を操作する機器が開発されている。デジタルブラストもそうした「重力発生装置」の開発を進めており、実現すれば地球の1/6の重力環境を再現でき、そこで植物の栽培を行うとしている。

佐藤助教らの研究チームは、重力発生装置の開発に必要な要素技術について協力するという。佐藤助教、登尾教授の土地資源学研究室では、2011年より低重力環境下での栽培培地中における水分移動の研究を行ってきたほか、小沢特任教授は、作物反応を活用した環境制御技術(エネルギー利用に頼らず高温、低温による作物被害を軽減する技術)の実用化に向けて長年にわたって研究を続けてきており、その一環として、明大 黒川農場の施設内において作物栽培を実施中だという。


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