“同性愛嫌い”ではなかった!? 石原慎太郎が書いた「BL小説」のすごい中身
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そんな石原に思わぬ過去があった。なんと、こともあろうかBL小説を書いていたというのだ。
石原がしたためたBL小説とは、『待伏せ』という1967年に発表された短編。今では読むのが困難な作品だが、これを発掘しているのが、書評家・豊ア由美と評論家・栗原裕一郎の対談本『石原慎太郎を読んでみた』(原書房)だ。
同書によれば『待伏せ』は、石原がベトナム戦争真っただ中に現地へ取材に出かけた後に執筆した作品。ベトコン討伐のために掘った穴で夜を過ごす主人公が、「光も音も何もない空間で、だんだん現実感が薄れていって、自分の身体感覚すらも失われてしまう極限状態」が描かれているという。
問題はここからだ。主人公は状況にたまらなくなり、隣のカメラマンに手を伸ばす。すると、相手もぎゅっと指を握り返すのだ。そして、<二人の手は互いに躊躇しながらさぐり合い、相手を握りしめる>のである。さらに物語は、<いつ離していいのか迷いながら、二つの手はからんだまま、地の上に置かれてあった>と続く……。
これには栗原も「初体験のシーンなんかに転用できそうな描写が続きますが、これはやはりあれですか、萌え?(笑)」と言い、豊アも「萌えでしょう!」と大きく同意。背中に「コワイ」「ナガイ、ヨル」などと文字を書き合って会話するという少女マンガも真っ青な胸キュンシーンもあり、石原嫌いで知られる豊アでさえ「かーわーいーいー!」と発言してしまうほど。「セックスよりも濃いっ」とBL萌えのお墨付きを与えるだけでなく、「たとえ芥川賞候補作であっても、A評価で推せるくらいの秀作ですよ」と、純文学としても高く評価している。
芥川賞さえ獲れちゃうほどのBL小説……都青少年健全育成条例改正案の騒動ではBLを愛する腐女子にとっても敵対関係だった石原だが、果たして彼のBL作品はいかなるものか。ぜひ読んでジャッジを下してみてほしいものだ。