『かごめかごめ』の解釈を進めるにあたって、まず注目したいのが「かごめ」という歌詞。
これが何を意味するかによって、歌の持つ意味が変わってきます。
1つ目の説は、妊婦を意味するというもの。
歌詞に登場する「かご」は籠のことで、これが胎盤を意味しているという解釈です。
さらに「かごのなかのとり」は、籠の中の鳥。
つまり、胎盤の中にいるものを意味しますから、胎児。
胎児を宿した女性なので、妊婦というわけですね。
2つ目の説は、「かごめ」は「籠女」であり、遊女を意味しているという説。
遊女は遊郭という場所に囚われ、身請けされない限り自由はありません。
3つ目の説は、「かごめ」ではなく「囲め」という意味であり、罪人の心情を歌っているという解釈になります。
罪人は四方を囲まれた牢に入れられますし、処刑される時には処刑人に囲まれます。
現代と違って、昔は斬首という処刑法がありました。
時代劇などでも登場する処刑方法で、自身の死を間近に感じながら日々を過ごす苦しさが想像できます。
また、少し怖い説として、口減らしの際に使われていたという説も。
これは遊女説にもつながりそうですが、貧しい家の子供を身売りする際、誰にするか選ぶために『かごめかごめ』が使われていたとする説です。
もしも本当だとしたら、『かごめかごめ』を歌う子供たちの心境は、一体どのようなものだったでしょうか。
わらべ歌とは思えない怖さと、時代の厳しさを感じます。
■カゴメ歌に漂う不穏な空気
そして「うしろのしょうめんだーれ」という歌詞で立ち止まり、鬼が後ろに立っている子を当てるという遊び。
椅子取りゲームやハンカチ落としなど、子供の遊びには誰か1人がはじき出される形式のものがよくあります。
しかし『かごめかごめ』は、自分の後ろに立っている子を探し出すという遊び方。
正面に立っている子は、ハラハラドキドキしながら自分が当てられないことを祈ります。
筆者は、誰か1人が全員に囲まれたり、「うしろのしょうめんだーれ」と探されたりするこの遊びが、どことなく苦手でした。
それは「うしろのしょうめんだーれ」という言葉に、何か不穏なものを感じ取っていたからかもしれません。
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かごのなかのとりは
いついつでやる
≪かごめかごめ 歌詞より抜粋≫
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すでにご紹介した通り、「かごのなかのとり」には囚人節や遊女説があります。
どちらの説であっても、囚われの身となった人間にとって、いつ出られるかも分からない状況は不安で心細いことでしょう。
「いついつでやる」とは、一体いつになったら自由の身になれるのか…といった儚い希望と不安が表れているようです。
仮に囚人だった場合、自由になれる可能性などなく、いつ命を絶たれるか(処刑されるか)という、絶望的な気持ちだったかもしれません。
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よあけのばんに
つるとかめとすべった
うしろのしょうめんだーれ
≪かごめかごめ 歌詞より抜粋≫
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「よあけのばん」とは、日が昇る前の、まだ薄暗い夜明けの時間帯でしょうか。
「つるとかめ」は、めでたさの象徴でもある鶴と亀のことでしょう。
「すべった」というのがとても不穏で、不吉な出来事を象徴しているようにも解釈できます。
また、滑ったという言葉から連想できるのは、突き落とされた嫁。
もしくは、刀が滑って罪人の首を切り落とす様にも重なります。
非常にシンプルで短い歌ですが、これだけ多種多様な解釈を生み出すほど、想像力をくすぐる歌詞だということですね。
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そして「うしろのしょうめんだーれ」が意味するものには、思わず背筋が凍るような説があったのです。