熊本県産アサリの大半に外国産が混入している可能性が高いことを決定づけたのは、食品表示偽装を専門にした科学鑑定だった。
食品の産地偽装が後を絶たない中、農林水産省などは、市販されている食品への抜き打ち検査を続けており、産地や成分を調べる知見を蓄積している。
今回のアサリの調査では、農水省が全国の小売店で買い上げたアサリ500点を、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)がDNA分析した。
FAMICによると、国内で流通するアサリのDNAは、主に日本沿岸や韓国南岸に生息する種類と、中国沿岸や北朝鮮西岸に生息する種類に分かれており、それぞれ塩基配列の一部が異なる。買い上げたアサリのDNAを分析した結果、熊本県産と表示されたアサリだけ「中国沿岸・北朝鮮西岸型」の特徴が出たという。
食品は見た目で産地を判別することが難しく、FAMICは年間数千点の食品を科学分析している。食品表示法などの違反疑い事例を見つけており、1月にも奈良県のうなぎ専門会社の産地偽装が判明した。担当者は「不自然に安い国産品など怪しい食品に目を光らせている」と話す。(石田剛)