「仕事が終わったら上司からの電話をとらなくていい権利」がベルギーの労働者に与えられる
「帰宅後や休日でも職場から電話がかかってきたりメールが送られてきたりするのが憂うつ」という人は多いはず。特に、パンデミックの発生に伴うリモートワークの普及後は、労働者の仕事とプライベートの境が曖昧になったと言われています。
そんな中、ベルギーでは勤務時間外の連絡への対応を拒否できる「つながらない権利」が、公務員に適用されることになりました。
ベルギーの副首相兼公共サービス担当大臣であるペトラ・ド・ズッター氏は2022年1月4日に、「2月1日から国家公務員が勤務時間外の連絡に応じなくても不利益を被ることはない」とする通達を出しました。
この発表について、ド・ズッター氏は「働き過ぎのストレスと燃え尽き症候群との戦いにおいては、約6万5000人いる国家公務員のつながらない権利を制度化することが必要でした」と説明しています。
今回の通達ではまた、「緊急で例外的かつ不測の事態」であれば、これまで通り職場の管理者が勤務時間外に職員を呼び出すことができるとも定められました。これには、明文化されていなかった時間外の連絡を改めて規定する狙いがあるとのこと。
これにより、官公庁が時間外に職員を呼び出すには、事前に労働組合と協定を締結しなければならなくなりました。
連邦政府はさらに、フルタイムの職員の出勤を週5日から週4日制にする案も検討しているとのこと。週4日制が導入されると、労働時間が週38時間から週40時間に増える代わり、週に3日間休めるようになります。
ベルギーにあるルーヴェン大学で産業医学を研究しているLode Godderis教授は、「ベルギー政府の発表は一歩前進と言えますが、公務員だけではない『真の変革』が必要です。私たちは、お互いに必要な休みを認めなくてはなりません。
その上では、職場内で柔軟性や連絡体制についての合意を形成していくことが重要でしょう」と述べて、公務員以外にも権利を拡大すべきだとの見方を示しました。
こうした声に応えるように、ベルギーでは民間企業にも同様のつながらない権利を適用する取り組みが進められており、ピエール・イブ・デルマニュ経済・労働大臣の報道官はメディアに対し、「近いうちに法案が正式に発表される予定です」と話しました。
つながらない権利の普及が急ピッチで進められているヨーロッパでは、ベルギーより先にポルトガルが2021年11月に「勤務時間外のメール送信」を違法化しています。
https://gigazine.net/news/20220204-belgian-servants-right-to-disconnect/