米軍施設内は「無法地帯」「対応もない」…日本人従業員へのパワハラや未払い相次ぐ
2022/02/05 10:59
神奈川県内の在日米軍施設で働く日本人従業員らがパワハラや賃金未払いなど不当な扱いを受けたとして、訴訟や労災申請に相次いで踏み切った。使用主の米軍と、雇用主の防衛省、いずれに被害を訴えても解決に至らないことが背景にある。(小松大樹)
キャンプ座間(座間市、相模原市)の航空大隊に所属していた30歳代と50歳代の日本人女性従業員2人が昨年9月と12月、パワハラ被害の認定などを求め、厚木労働基準監督署にそれぞれ労災申請した。
2人によると、共に自衛隊との訓練の調整などを担う事務職として約2年前から航空大隊で働き始めた。だが、兵士の訓練に同行し、兵舎で寝食を共にするよう基本労務契約外の業務を命令されたほか、民間定期便しか使えない空港ターミナルの使用許可申請など法律や日米地位協定に反する申請をさせられたと主張している。
基地内の従業員は日米地位協定によって、日本政府と雇用契約を結び、米軍が使用者となる。2人は同3月の時点で、基地内の人事担当に苦情を申し立て、防衛省座間防衛事務所も配置転換を含めた配慮を求める要望書を米軍側に提出した。
2人は産業医に急性ストレス障害などと診断され、同4月から3か月の傷病休暇を取得。その後、「配置転換を条件に復帰可能」と診断されたが、米軍側に元の部署に戻るよう指示された。拒むと無断欠勤扱いとなり、1人は同7月から現在まで無給状態。もう1人は同10月から別の部署で復帰した。
2人は取材に「米軍施設内は地位協定を盾にした無法地帯。被害を訴えても対応がなく、労災認定してもらうしかない」と強調した。
在日米陸軍司令部は「日本政府の権限のもとにあり、具体的事例についてはコメントできない。雇用関係の苦情が適切に扱われるよう 真摯に受け止める」とした。
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https://www.yomiuri.co.jp/national/20220204-OYT1T50129/