【玉ちゃんの酔滸伝】石原慎太郎さんとの共演でハラハラ、中国料理店では案の定…現場を翻弄する〝ちゃぶ台返し〟 ご一緒できたことは一生の宝物です - zakzak：夕刊フジ公式サイト
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作家で元東京都知事の石原慎太郎さんがお亡くなりになりました。
石原さんが都知事だった時代に東京都の番組で１０年間近くご一緒していました。石原さんと玉袋筋太郎という不釣り合いに私は恐縮していました。ですが、そんなことはお構いなしの石原さんの懐の深さに感動したことを思い出します。
しかし実は１０年共演して、私の芸名が何であるかを石原さんは知らなかったのですが…。
東京都のお堅い番組であるにも関わらず、制作はテリー伊藤さんの制作会社が請け負っていました。石原さんにはバラエティー番組の現場の流れという概念はありませんから、「お約束」を盛り込んだＶＴＲを見て「なんだ、これヤラセじゃないか！」と激高したり、ゲストにいらっしゃった立川談志師匠が「こんな番組にお前が出ているなら、俺は帰る！」と怒って収録中に帰ってしまったりと、思い返してもハラハラの連続する現場でした。
番組では石原さんが知事として掲げた都政も反映させていました。それは増え続けるゴミをあさって迷惑をかけている東京のカラス問題のときでした。知事が発した外国小説に出てくる「カラスのミートパイがうまい」という話から、実際に番組でカラス料理を出して出演者みんなで食すというものです。
焼き鳥好きの私ですが、さすがに捕獲され調理されたカラスの唐揚げ、そしてミートパイなどを出されても、なかなか食が進みません。しかし言い出しっぺの石原さんが食べていたので、オエオエしながら口に運びました。
番組の慰労を兼ねて食事会が行われたのも思い出します。気の利かないスタッフがチョイスしたのは中国料理店。尖閣諸島問題でピリピリしていた石原さんの機嫌が案の定悪くなり、食事会は早々にお開きになりました。普通の人にはできない現場を翻弄する「ちゃぶ台返し」。その頃は翻弄されることに快感さえ覚えていた私は「これぞ石原慎太郎のリーダーシップの魅力だ」と喜んでいたのです。
あの翻弄された現場でご一緒できたことは私の一生の宝物です。ありがとうございました。
玉袋筋太郎
お笑い芸人
１９６７年６月２２日生まれ。東京都新宿区出身。８６年にビートたけしに弟子入り。ＴＢＳラジオ『たまむすび』（金曜）、ＴＯＫＹＯ ＭＸ『バラいろダンディ』（金曜）にレギュラー出演中。２０１３年から一般社団法人全日本スナック連盟会長。
