https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/kodomoq/RWun_IAgMn.html
シシャモはどうしてメスの子持ちシシャモばかり売ってるの?
お名前を教えてください。
なつさんなつです。
なつさんは、どんな質問ですか?
なつさん子持ちシシャモは、みんなメスです。シシャモはオスもいるはずなのに、なんでメスだけで売っているんですか?
そうねえ。子持ちシシャモ、おいしいけれど、メスですものね、全部。林先生に教えてもらいましょう。お願いします。
林先生はい。なつさん、こんにちはー。
なつさんこんにちはー。
林先生大変おもしろい質問をいただきました。ありがとうございます。なつさんは、シシャモ大好き?
なつさんはい。
林先生子持ちシシャモって、食べるとおなかに卵が入ってておいしいよね。
なつさんはい。
林先生卵を持つシシャモだから、オスかメスかっていうとメスなんですよね。
なつさんはい。
林先生それでおなかに卵を持っているのばっかり、確かに売ってるよね。
なつさんはい。
林先生でもね、生きものだから、生物だから、ちゃんとオスもいるんですよね。それで最初の質問に答える前に、シシャモっていうのを1回整理しておきたいと思うの。いいかな?
なつさんはい。
林先生実は、日本にしかいない「シシャモ」という名前の魚もいるんですよ。これが今はね、そうだな……もうだいぶ前になるんだけど、年間に約1000トンぐらい。それでもふつうの魚に比べたら全然少ないのね。それがつい最近は年間295トン、約300トンぐらいしかとれなくなっちゃっています。
とれる場所っていうのが北海道に限っているんですよ。北海道の周辺でしかとれないシシャモなので、まずこのシシャモを食べられるのは、たぶん北海道ぐらいなんです。おいしい魚なので、もし東京だとか、北海道以外の日本に運ばれているとすれば、それは高い値段で料理を食べるようなところにしか、日本のシシャモはいってないと思うんですね。
なつさんはい。
林先生それで私たちがスーパーマーケットで買う子持ちシシャモ、あれはね、実はシシャモではあるんだけれども、ちょっと日本のシシャモとは違うもので、日本の名前でいうと「カラフトシシャモ」っていうんです。缶詰なんかにもあるんだけど、それは「カペリン」という名前で売ってるんです。
それでこのカラフトシシャモが、子持ちシシャモとして売られているので、それを私たちは食べているわけです。カラフトシシャモにもちゃんとオスはいるんですけれども、どちらかというと産卵期がだいたい10月の終わりから12月の始めぐらいまでなんです。日本のシシャモは海で生活しているんだけれども、卵を産むために川にのぼってくるんです。サケとおんなじように。ですからそのころにたくさんとれるんですね。メスはおなかにたくさん卵を持っているし、オスも脂がのっておいしいんです。だから実際には、北海道なんかでは皆さん、オスも食べていらっしゃるんです。
なつさんはい。
林先生日本のシシャモはさっき言ったように、なかなか一般の私たちには手に入らないという状況なんですけれども、カラフトシシャモも全くおんなじなんですが、カラフトシシャモは川にのぼらないで海だけなんです。ですからとったシシャモを、産卵期にたくさんとるとオスとメスの区別ができるんです。産卵期のオスは色が黒っぽくなるんです。それと、メスの体を自分の尾っぽのほうでぐっとからめて、卵をメスから受け取るときに落とさないように、尻びれっていう、尾びれの前にあるひれが大きくなるので、それでオスとメスの区別ができるんです。
なつさんはい。
林先生それで卵を持ってるメスのほうが、よく売れるんですよ。おいしいからということで。ですから船で水揚げした段階でオスとメスを分けてしまうんです。ですからノルウェーとかアイスランドとかカナダから日本は輸入しているんですが、日本のお客さんはみんな子持ちシシャモが大好きだから、メスのシシャモしかあんまり送られてこないという状況がある。つまり輸入しないということもあるんですね。
なつさんはい。
林先生ですけども、地元のノルウェーとかアイスランドとかカナダでは、ちゃんとオスのシシャモも流通している。どちらかというとね、昔はたくさんシシャモがとれたので、とれたシシャモはメスだけ使って、オスは肥料にされてたり、かまぼこみたいな練りもの、フィッシュミールっていうんだけどそういうものに姿が変わっちゃってたの。だからオスのシシャモを直接見ることがなかなかできなかったのかもしれない。
でもちゃんとオスはいます。それで選ばれたメスが、今、私たちの食卓にのっかってくるということなんですよ。わかりましたかね。
なつさんはい、わかりました。