薄毛はなぜいじられるのか 2万人アンケートで見えた「同調圧力」:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ2532ZKQ1LUTIL03Y.html

アデランスでカウンセリングを担当する福野恵美さんは、薄毛について「若者の相談が増えていて深刻だ」と話す。自身も、円形脱毛症で突然髪が抜けてしまった経験があり、「気持ち悪い」と親しい人から言われたことがあるという=東京都新宿区

金融機関に勤める男性(33)は大学を卒業後から急に前髪が後退し、いまは毛髪がほぼない。3代続けて薄毛といい、「サラブレッド」と自称するほど、あっけらかんとしている。

それでも引っかかることがある。あるとき取引先との商談で「照明はいらないですね」と言われ、笑いが起きた。真面目な話に移っているのにしつこく絡まれ、そのつど愛想笑いをしたが、内心腹が立った。

取引先の中小企業の社長から「治療をしろ」と突然言われたことも。「ミスしたら『ハゲのくせに』と陰口をたたかれるだろう。自分から弱みをつくるな」と説得された。よかれと思った助言かもしれないが、のみ込めなかった。

幼稚園に通う息子を迎えにいったとき、ほかの園児が「お父さんハゲだ!」とからかうのを耳にした。自分はよいが、息子がどう思うか不安になる。

「なんで薄毛だと、他人からネタにされないといけないのか……」

「容姿いじり」は差別だ、という意識は高まるが、「薄毛」については希薄ではないか。PR会社のシンクタンク「日本パブリックリレーションズ研究所」はこんな考えから、毛髪をからかったり、いじったりする行為を「髪ハラスメント」と位置づけ、実態を調査。昨年5月にネット上で全国の30〜60代の男女2万人を対象にアンケートした。

アンケートでは、「薄毛」に悩む人とそうでない人の意識のギャップがあらわになりました。「薄毛ネタ」が盛んだった芸人の世界でも、容姿いじりは近年鳴りを潜めています。1万人以上の芸人を指導してきた吉本興業の漫才作家、本多正識さんに実情を聞きました。

茶化され、引きこもりも

「薄毛の悩みや気になること…

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