福島ではいつ終わるともしれない除染作業が続けられている。2019年までに投じられた除染費用は約2兆9000億円。原資は我々の血税である。
その血税を食い物にした「除染成金」がいる。震災後の12年1月に設立された土木工事会社「相双(そうそう)リテック」の塚本泰英(やすひで)会長だ。
大手ゼネコン「清水建設」が請け負った除染の「一次下請け」として業績を急拡大させた相双リテック。12年に約19億円だった売上高は、
14年には約48億円、15年は約111億円、16年は約105億円と、とんでもない成長ぶりである。
除染業者に聞くと、
「17年12月、清水建設で除染を統括する執行役員が相双リテックの除染作業員に、実家の草むしりと雪かきをタダで
させていたことが明るみに出ました」
相双リテックは執行役員を厚遇して一次下請けに入り、二次下請けへの発注価格を抑え、儲けを独り占めしていたという。
同社では14年以降の3年間、役員7人に総額76億円の報酬を支払っていた。その大部分は塚本会長の取り分だったというが、
ここに来て、仙台国税局から「役員報酬が不相当に高額」として約30億円の申告漏れを指摘されたのだ。
紙袋に現金
除染マネーで私腹を肥やした塚本会長は、羽振りの良さでも知られていた。とりわけ、ヤクルトスワローズ元監督の真中満氏への
タニマチ然とした振る舞いは、目を瞠るものがある。
相双リテック関係者によると、
「二人とも日大出身で、先輩後輩の間柄。塚本会長は、真中さんが監督当時にはコーチなども引き連れて、
銀座の高級クラブに繰り出していました」
紙袋に現金を無造作に入れて持ち歩き、そこからがばっと札束を掴んで支払い、領収書は受け取らなかったとか。
また、15年のヤクルトのリーグ優勝時には、総額で1000万円は下らないフランクミュラーとロレックスの腕時計をプレゼント。
会社の顧問料名目で年1000万円近くを払い、正月には100万円のお年玉も渡していたという。
真中氏は、塚本会長からの経済的援助に報いるためか、「職権濫用」を疑われても仕方のないようなことまでしていた。
野球好きの塚本会長は会社に軟式野球チームを持ち、常々、“チームからプロ野球選手を出すのが夢”と公言していたが、
16年のドラフト会議で、ヤクルトは相双リテックの選手を6位指名。真中氏が、塚本会長の夢を叶えた格好である。
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