日本人を愛して愛された…教科書に登場、コロナ感染死したスリランカ人男性を悼む声続々 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン
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【ニューデリー=小峰翔】インド洋の島国スリランカで今秋、新型コロナウイルスに感染して亡くなった現地男性を悼む声が、日本のSNSで静かに広がっている。かつて小学校の国語教科書で紹介された鉱山労働者で、死後100日が過ぎた今も、「日本で最も知られたスリランカ人」とたたえる投稿が相次ぐ。
男性はウェリカラアプハミラゲ・ポディマハッタヤさん(74)=写真、家族提供=。8月30日に入院し、9月3日に急逝した。3年前に本人と交流した日本人が、家族から死去の連絡を受け、ブログに追悼のメッセージを投稿したところ、SNSで情報が拡散し、ツイッターではトレンド入りもした。
「インパクトのあるネーミングとりりしい横顔」「永遠のヒーロー。悲しすぎる」――。投稿の中心は、教科書で学んだ30代とみられ同窓会のような雰囲気も漂う。
ポディマハッタヤさんは、光村図書が1992年から10年間出版した小学4年生用教科書に掲載された物語「一本の鉛筆の向こうに」(作・谷川俊太郎、原典は福音館書店)に登場する。鉛筆の原料や製造工程、それにかかわる人々の暮らしぶりが描かれ、ポディマハッタヤさんは、芯の材料となる黒鉛を、上半身裸で採掘する姿が写真入りで紹介された。
当時の小学生に与えた影響は大きかった。ポディマハッタヤさんの元には掲載開始直後から連日5、6通の手紙が届くようになり、スリランカまで訪ねてきた児童や教員、旅行者らは100人を超えたという。ポディマハッタヤさんは鉱山に案内したり、食事を振る舞ったりして歓待した。
長男サマンタさん(45)は、ポディマハッタヤさんが度々、「日本人を愛し、愛された」と話していたと振り返り、「日本に行く機会があれば、教科書で学んだ人たちと語り、父の記憶を分かち合いたい」と語った。