人数制限緩める「全員検査」、導入は3・5%だけ 飲食店側に不満も
山口啓太、小林太一 仁村秀一、仙道洸2022年2月11日 7時00分

 新型コロナの陰性証明を見せることで飲食店の人数制限を緩める「対象者全員検査」が低調だ。感染拡大時の緩和策として今回の「まん延防止等重点措置」で打ち出されたが、都内の飲食店の導入は3・5%にとどまる。検査キット自体が不足する中、飲食店からは実効性に疑問の声が上がる。

 2月初旬、東京都北区の「赤羽一番街商店街」。平日の午後8時前、開店中の店舗を50近く確認したが、「対象者全員検査」の導入を示すピンク色のステッカーは見つけられなかった。

 「『やっている感』を出すための中途半端な対策に見える」。商店街の一角にあるイタリアンバル「赤バル レッツェ赤羽店」の寄木一真・営業部長(44)は辛口の評価だ。

 都は今回の重点措置で飲食店に、@営業を午後9時までとし、酒類提供は同8時までA営業を同8時までとし、酒類提供はしない、のどちらかを選ぶよう要請。人数制限は「4人以内」だが、政府の基本的対処方針に沿って全員の陰性が確認できれば5人以上も可とした。

 対象者全員検査の仕組みは都に登録すれば導入できるが、このイタリアンバルは導入せず、5人以上の客は「2人と3人」「3人と3人」などにテーブルを分けて対応している。寄木部長は「仮に導入しても、同じ空間に証明がある人とない人が混在すれば意味がない」と突き放す。

 店の売り上げは忘年会需要の高まった昨年12月、コロナ禍前の8割ほどまで回復したが、1月は感染者の急増で激減。今は約2割まで落ち込んだ。「経営も厳しい中で入店を断るのは現実的に難しい。大人数の客が来れば席を作る努力をする」

 銀座で日本料理店を営む男性店主(61)は仕組みを導入したが、「対策として成立していない。陰性証明がない客を断ったら関係はぎくしゃくする」。検査キットそのものが不足し、客がスムーズに検査を受けられるのか自体に疑問をもつ。「現実に対策が追いついていない。ちぐはぐ感しかない」

※略※

https://www.asahi.com/articles/ASQ2B5T4WQ24UTIL05J.html