一方、長男は、ファッションや音楽に興味があり、両親と共通の話題が多くよく会話していたため、反抗期らしきものはとくになかった。
勉強もスポーツも嫌いではなかったが、「制服が嫌」という理由で私服の都立高校に進学。

1年生の夏休みの宿題は大学のキャンパス訪問で、緑さんの勧めで武蔵野美術大学を見学したものの、そのときは無関心だった。
1年生の終わりには、「みんなゲームやアイドルの話しかしないからつまらない」という理由でアメリカへ転校。
エリンさんの実家から地元の高校に通ったが、アメリカの学校もつまらなくて、音楽やファッションなど趣味のことは緑さんとSNSでよく話していたという。

その後、アメリカの高校を卒業して帰ってきた長男は、「大学には行きたくない」と宣言。
「それなら、ファッションが好きだから文化服装学院がいいんじゃない?」と緑さんに勧められるまま願書は出した。
しかし、「ファッション業界は給料も低くて過酷」という話を聞き、「そんな条件で頑張れるほど好きじゃないかも」と言いはじめ、書類に不備もあったため落ちてしまった。

そこで「デザインはどう?」と次も緑さんに勧められるまま、バンタンデザイン研究所のグラフィックデザインコースに通うことに。
ところが、直後に新型コロナウイルスの影響でオンライン授業となり、一気にモチベーションが下がって、入学2カ月後には「やっぱり大学に行きたい!」とはじめて本人が大学進学を希望した。

「でも、大学には行きたくても、受験勉強はしたくないんです。その気持ちはわからないでもないし、バンタンも結局、ギリギリまで通ってたので、
またリサーチが得意な私が受験勉強しなくても入れそうな学部を調べまくりました。ただ、わざわざ高いお金払って行くなら教育の質も学生の質も高い大学がいい。
三流大学に行くなら専門学校のほうがよいと思っていたので、大学はかなり絞り込みました」(緑さん)

音楽とファッションが好きな長男は、そのときすでにDJをはじめていてクラブのフライヤーをつくったり、リメイクTシャツを作って販売したり、
イベントのキュレーションをするなど幅広く活動していた。そこで緑さんは本人と相談して、キュレーションを本格的に学べる有名美大を選んだ。

「美大って、昔はデッサンができないと入れなかったけれど、今は入試方法の選択肢がたくさんあるんですよね。武蔵美の造形学部芸術文化学科は、実技なしで受けられるし、
英語受験できる枠があるから、『これならいけるかも!』と思って受けさせました」(緑さん)

そして、次男が独学で慶應大学に合格した同じ年に、年子の長男も塾、美大予備校なしで武蔵野美術大学の合格を果たした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7db478539d7007445840ca98d849100727f31d74