物価上昇「可能性極めて低い」 黒田日銀総裁インタビュー

日銀の黒田東彦総裁が毎日新聞の単独インタビューに応じた。資源価格の高騰などを背景に世界的に高インフレ(物価上昇)懸念が強まっているが、
「日本の場合、消費者物価が大きく上昇する可能性は極めて低い」と指摘。「金融緩和の縮小や引き締め方向への切り替えはあり得ない」と現行の金融政策の修正を強く否定した。

物価上昇率は、新型コロナウイルス禍からの景気回復や原油などの資源高を背景に、米国で7%台となるなど世界的に上昇している。
日本も2021年12月の消費者物価指数(価格変動の激しい生鮮食品を除く)が前年同月比0・5%上昇し、4カ月連続で前年実績を上回った。

こうした状況で、物価上昇率が日銀の目標である2%に達した場合の対応を問われた黒田氏は「エネルギー価格が一時的に上がることで(企業間の取引価格の動向を示す)企業物価は上がっているが、消費者物価も大きく上昇する可能性は極めて低い。
22、23年度に2%になると考えている(日銀の)政策委員はいない」と述べ、日本では海外のような急ピッチの物価上昇は起きないとの認識を示した。
欧米などの中央銀行は物価上昇を受け、金融緩和の縮小や利上げにかじを切っているが、黒田氏は「日本は欧米より景気回復のテンポが遅く、物価上昇も0・5%程度なので、金融緩和の縮小や引き締めに切り替える必要はないし、あり得ない」と強調した。

https://mainichi.jp/articles/20220210/k00/00m/020/030000c