https://hochi.news/articles/20220210-OHT1T51278.html
清水英克調教師、亡き偉大な先輩・嶋田功さんの言葉胸にアケルナルスターでクラシックへ
◆第56回共同通信杯・G3(2月13日、東京・芝1800メートル)
3重賞を含む週末レースの出走馬が10日、確定した。3歳のスター候補が集う第56回共同通信杯・G3はアケルナルスターに注目。清水英克調教師(56)=美浦=は、天国の偉大な先輩の言葉を胸に一発を誓う。
清水英調教師が共同通信杯に送り込むアケルナルスターには特別な思いが存在する。2戦目の東京2000メートルでの初勝利の内容が強烈なトーセンラー産駒。道中ほぼ最後方からメンバー最速の上がり33秒5で突き抜けた。次位の上がりタイムが34秒8だからまさにケタ違い。「東京で追い込んで勝ったからね。夢を持っちゃいますよね。久しぶりにすごい馬に出会えたなという実感があります」。偉大な先輩の言葉を実現するチャンスが巡ってきた。
「ダービーは出られるなら出た方がいい。後悔するよ」。2020年にこの世を去った嶋田功さんの言葉が頭を離れない。騎手時代には「牝馬の嶋田」と言われ、G1級を14勝、1972〜74年にはオークス3連覇。73年の日本ダービーではタケホープで断然人気のハイセイコーを下した日本競馬史上に残る名手。その言葉は、清水英師がガルボで10年のシンザン記念を制し、重賞初Vを飾った際、当時は調教師だった嶋田さんが先輩トレーナーの立場で発した“忠告”だった。
ガルボはシンザン記念の勝利で賞金を加算し、日本ダービーの切符をほぼ手中にした状況。だが、皐月賞は13着。そのため指揮官はこの時点で短距離路線に切り替え、ガルボはさらにG33勝を重ねた。その決断は正しく悔いもないが「この言葉だけはずっと残っているんだよね。やっぱりホースマンはダービーなんだなと思ったよ」と、まだ立つことができていない大舞台へ思いをはせた。
アケルナルスターは前走、中山で行われたホープフルS・G1でも7着ながら上がり最速タイムをマーク。日本ダービーへの思いはさらに膨らんだ。「ダービーには使いたい。素質のある馬だからね。最低でも賞金を加算したい」。アケルナルスターの走りを天国の先輩も見守っているに違いない。