岩手県久慈市の農場で大量の鶏が死んでいた問題で、県は12日、毒性が強い高病原性の疑いがある鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)を検出したと発表した。県内の農場で感染が確認されたのは初めて。
県は同日、この農場の鶏約4万5000羽の殺処分を始めた。

県によると、11日午前に同農場から「鶏が大量に死んでいる」と報告があり、13羽に対して簡易検査を実施した。
このうち12羽から同ウイルスの陽性反応が出たため、遺伝子検査を行ったところ、全羽に高病原性の疑いがあることが12日判明した。

 これを受け、県は同日、対策本部会議を開き、防疫対策や風評被害防止に向けた情報発信、衛生管理の徹底を行うことを確認した。
達増知事は「感染した肉や卵は市場に出回らない。人に感染する可能性もないので、心配しないでほしい」と県民に呼びかけた。

 殺処分は、農林水産省の助言のもと、白い防護服を着た県職員約90人が行い、24時間以内の作業完了を目指している。
また、国から派遣された疫学調査チームも現地入りし、感染経路や原因の特定を進めている。

 このほか、ウイルスが検出された農場から半径3キロ圏内にある別の農場1か所でも鶏に異変がないかどうか約3週間観察する。
同10キロ圏内では、鶏や卵などの移動を制限した。
久慈、洋野、野田の3市町村の6か所では、関係車両の消毒も行う。

 久慈市では9日と11日、オオハクチョウ1羽とカラス2羽の死骸からも鳥インフルエンザの陽性反応が相次いだ。
県自然保護課は「野鳥への餌付けを自粛するほか、死んでいる場合は素手で触らないでほしい」と注意を呼びかけている。

 東北農政局は、生産者や消費者、流通業者などからの相談を受け付ける。
問い合わせは同局消費・安全部消費生活課(022・221・6093)へ。

 鳥インフルエンザウイルスの感染確認を受けて、県内の養鶏関係者には衝撃が広がっている。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220212-OYT1T50276/
https://i.imgur.com/vLU6zK3.jpg