【バンコク=村松洋兵】タイの首都バンコクの英語名称を「クルンテープ・マハナコーン」に変更――。タイ政府による表記変更の発表に対して、市民らに困惑が広がった。タイ語でバンコクを指すクルンテープはタイ人に浸透しているが、国際的に認知度が高いバンコクの名称変更は混乱必至だからだ。政府は「両方とも使用できる」との見解を示した。

タイ政府は15日の閣議で地名の英語表記を変更する草案を承認した。それによるとバンコクは従来の「Krung Thep Maha Nakhon; Bangkok」から「Krung Thep Maha Nakhon; (Bangkok)」に改められた。バンコクが丸かっこで囲まれたため、クルンテープ・マハナコーンだけが正式表記になるとの認識が広まった。

クルンテープ・マハナコーンは「天使の都、大都市」を意味する。もともとバンコクの正式名称はタイ語で100文字超の「世界で最も長い首都名」とされ、クルンテープ・マハナコーンは最初の2語に当たる。タイ人は省略してクルンテープと呼ぶのが一般的だ。タイ語でバンコクは市街を流れるチャオプラヤ川沿いの一部地域を指す。

英語表記の変更は王室系の機関が提案していた。市民らの困惑を受けて、政府のラチャダー副報道官は「ちょっとした調整」であるとし、従来通りバンコクも使用できると説明した。

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