高級織物・西陣織の工場が立ち並ぶ京都市上京区の西陣地区。織物工場だった築100年の町家を改装したゲストハウス(簡易宿泊所)を経営していた河野鉄平さん(63)は今月廃業し、妻と娘が住む長野県に戻った。

 建材メーカーの営業を経て、30歳過ぎから長野県でペンションを経営。生まれ故郷の京都市で宿泊施設を開くことが夢だった。2017年に長野県のペンションを閉じ、ゲストハウスの開業資金として約4500万円を投じた。和風の趣が訪日外国人客に人気を呼び、経営は順調だった。

 しかし、20年2月頃から新規予約はほぼゼロになり、半年前から休業。収束を期待して京都市の臨時職員として働いてきたが、訪日観光の先行きは見えず、撤退を決めた。

 ゲストハウスは住宅として借り手がついたが、改装した際の借金は1000万円以上残る。河野さんは「長野で仕事が見つかるかどうか。コロナに負けた。無念だ」と唇をかむ。
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