命を守るため可能な限りの人員を
保健所体制と医療の拡充にまわせ

再び医療崩壊

 新型コロナウイルス感染拡大第六波を迎えた中で、大阪府は人口あたりの重症者数、コロナ死者が全国ワースト1です。病床は極めてひっ迫し、適切な治療が受けられず命の危険に晒される感染者が続出しています。
 高齢者施設等におけるクラスターは、件数、感染者数ともに第5波を超え、第4波を凌ぐスピードで増えています。そんななか大阪市は、高齢者施設からの119番通報を控えるよう通知しました。第4波では医療崩壊し高齢者施設での感染者が入院できず、そのまま亡くなる方が相次ぎましたが、まさに第4波再来の様相です。

保健所が機能不全 発生届の入力漏れで症状悪化

 保健所業務はひっ迫し、大阪市では1万人以上発生届の入力漏れが起こりました。必要な措置がとられないことにより、症状が悪化し救急搬送された人も出ました。市民の命が危険にさらされていることに対して松井市長からは謝罪もありません。
 府下保健所からのファーストタッチは65歳以上のみとなり、外来入院は中等症U以上に限られています。肺炎では入院できないということです。感染者を早期に医療につなぐことができず症状が悪化し、「救える命が救えない」事態に陥り重症者や死者が増大していると考えられます。

維新府市政の失政でさらなる病床のひっ迫に

 異常事態を招いた大本は、維新府市政がコロナを軽視し十分な対策を打ってこなかったことにあります。松井一郎大阪市長は1月、オミクロン株による重症化率はインフルエンザよりも低いとし、「インフルと比べ命に大きく関わる症状とは思っていない」と述べました。しかし肺炎や呼吸不全による重症化には至らなくても、生活習慣病など既往症の悪化で死者が増大し、死者のペースは第5波を大きく上回っています。

 発生届の入力漏れも、1日1700人の感染者しか想定しなかった職員体制で起こったものです。人口275万人の大阪市には保健所が1つしかありません。保健所体制の強化をどこよりも進めなければなりませんが、松井市長は「人材も含め持っている体制の中では非常に厳しい」などと開き直っています。問題発覚後、入力のための職員体制を40人から80人に慌てて増強しましたが、なぜ初めからやらなかったのか。あまりにも対応が後手後手です。

 見通しの甘さは吉村洋文知事も同様です。大阪府は昨年度、コロナ病床にも使われる急性期病床を229床も削減したことが府議団の追及で明らかになり、現場の医師からも怒りの声が出ています。
 軽症者・無症状者800床、中等症者200床の大規模医療・療養センターは、1名の利用(2月14日現在)にとどまっています。大阪府は国や医師会に医師や看護師の要請すらしていませんでした。
 ようやく始まった無料検査も知事は「行政検査に切り替える」と、検査に消極的な姿勢は変わっていません。大阪府がとってきた「重症化しなければいい」という方針のもとで感染者が増え続け対応ができなくなり、結局重症者や死者を増やしています。

https://www.jcp-osaka.jp/seisaku/20162