奥森は、将来的にラジオパーソナリティとして深夜の2時間をひとりしゃべりでやっていきたいという。長年その道を第一線で行く伊集院は、ラジオのよさを「言い切らないまま、考え方が変わっていくこと」だと言って、再現口調で語り出す。

「ラジオのいいところは時間が長く使えるところ。『それってダメじゃね? まあ、そんなダメって言い切れるほど、俺もちゃんとした生活してるわけじゃないか。「俺にダメって言われても……」っていう言い分は、向こうにもあると思うんだけど。たださ、ルールで考えたらダメだよね。うん、世の中ルールだけじゃないよ! わかるよ、でもそれは……』って。こんなひとりしゃべりはラジオ特有だし、ラジオの好きなところ」

140字のツイートや文字起こしの要約では拾い切れないニュアンス。パーソナリティとリスナーが毎週2時間過ごすことで初めて共有できるコミュニケーションの妙。のらりくらりとした結論のないトークでも聴いていられる親密感。それらのすべてがラジオにはある。パーソナリティとリスナーとして立場は違えど、ふたりはその感覚を共有しているようだ。

奥森も「そこに憧れる自分がいるのかも」と目を輝かせ、「どこかで、話に一貫性持たなきゃ、筋を通さなきゃって思い込んでるけど、ある意味での自由」の尊さを伝える。そして伊集院も「一貫性とか筋がなきゃいけないと思ってる人の『自由な話』はおもしろくないっていうか。聞きどころがない」と重ねるのだった。

さらに伊集院はリスナーとの信頼関係を築く秘訣まで伝授する。

「ひとりしゃべりのコツは、思ったことを全部言うことだと思うんだよね。自分が矛盾してるってことに気づいてれば、矛盾してないのと一緒。『今、私矛盾しちゃってるよね、どうしよう』と言えば、リスナーは『この人は矛盾しちゃいけないってことはわかってる人だ』って思ってくれる」

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伊集院光と奥森皐月のラジオ対談「思ったことを全部言う」リスナーとの信頼関係、ひとりしゃべりのコツを伝授 - QJWeb クイック・ジャパン ウェブ
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