産業・社会に破壊的イノベーションもたらす「量子技術」開発 政府は支援強化...実用化「加速」めざす

量子力学の原理を利用した量子技術の開発が活発化している。
これを利用した量子コンピューターは、現在のスーパーコンピューターで1万年かかる問題を3分で解いてしまうという破壊的な性能を持つ。
それだけに、産業はもちろん、安全保障にもかかわり、世界の力関係にも大きな影響を及ぼしかねない。

日本も政府が2020年に定めた「量子技術イノベーション戦略」の改定に乗り出すなど、国を挙げての技術開発、産業育成を進める方針だが、先行する米中などには水をあけられているだけに、どこまで巻き返せるか。
日本ではとくに量子暗号で、東芝が21年8月、膨大なゲノム情報をネットワーク経由で安全に送る実験に世界で初めて成功。また、22年1月には量子暗号通信を金融取引で使う検証実験に成功するなど、世界の先端を走っている。

こうした民間の力を結集しようと、東芝、NEC、トヨタ自動車、NTT、日立製作所、富士通、みずほフィナンシャルグループ、東京海上ホールディングスなど大手24社は2021年9月、
「量子技術による新産業創出協議会」を設立。量子技術の動向や応用できる分野についての調査などに動いている。

政府も国として量子技術の開発を後押しする姿勢を明確にしている。
「量子技術イノベーション戦略」について、有識者会議で検討し、今年(22年)6月をめどに改定版を決める方針だ。これまで大学などでの基礎的な研究が中心だった技術の実用化の加速をめざし、産業育成に力を入れる考えだ。
2022年度予算案に、量子暗号通信網の構築をめざし、人工衛星を介した量子暗号通信の研究開発などの事業費27.5億円を盛り込むなど、量子技術関連予算を前年度の2倍超にあたる約800億円に積み増した。

https://www.excite.co.jp/news/article/Jcast_kaisha_430982/