――「女子だけを描く」と宣言することで、表現できることの幅が狭まるという感覚はありませんか?

単純に私の絵柄に統一性がなく、とっ散らかっていると言うのもあるんですが、
私は「女子だけ」を描くことでむしろ、多様性を表していきたいんです。
というのも、幼少期に漫画を読んでいた時、同じ漫画家が描く違う作品のはずなのに、
主人公の顔が全て同じように見えてしまうことがあって。
例えば、オムニバス形式の短編恋愛漫画を読みながら
「この男の人と女の人がまたいちゃいちゃしている!毎回、同じ男の人がハーレムを
形成している!」と思っていたら、同じ漫画家が描く全く違う作品だったんです(笑)。
もちろん、作者的には作品によって登場人物の顔は変えているはずですし、私の間が抜け
ているというのもあるんですが、幼心に解せなかったんですよね。だから私のベースとして
「分かり易すぎるくらい女の子を描き分けよう」というのがあるんだと思います。
「何を描いても同じ顔になってしまう」と言うのは、自分の理想に寄せすぎていたりと、
作家のエゴが出た結果だと思うんです。「多様性と女の子」というのは食い合わせが悪い
ように思われるかもしれませんが、私のエゴを置いておくことで「いろんなの女の子がい
るし、いてもいいし、それにとやかく言う権利は誰にもない」という多様性に目を向けることはできるな、と思うんですよね。

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