商船三井は18日、同社が運航する自動車運搬船「フェリシティ・エース」が大西洋上で出火したと発表した。同船は独ポルシェなどの高級車を含む独フォルクスワーゲン(VW)グループの約4000台を運んでいた。乗組員は全員避難し、船は漂流している。

この船はドイツ北部の港を出て、米国東海岸に向かう途中で16日に出火した。乗組員22人はポルトガルのアゾレス諸島に避難を完了した。ポルトガル海軍の艦船が運搬船を監視している。商船三井によると17日時点で油の流出は確認されていないという。

独メディアによると、この船には約1100台のポルシェと189台のベントレーのほかアウディやランボルギーニなど計3965台のVWグループの車両が載っていた。

米オートモーティブニュースは、車両に搭載されていたリチウムイオン電池にも火が付き、消火には専門の機器が必要だと報じた。電池が火災の原因だったかは明らかになっていない。また、被害額が少なくとも2億5500万ドル(約300億円)になるとの見方も示した。

自動車業界は新型コロナウイルス感染拡大後の半導体不足で需要を満たす車両の供給ができない状態が続いている。今回の火災はVWの生産をさらに混乱させる要因となりそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR18EP40Y2A210C2000000/