古代エジプトの王、ツタンカーメンの墓から発掘された鉄の短剣を分析したところ、隕石から作られて、別の国から贈られた物だった可能性が高いと、千葉工業大学の研究グループが公表し、鉄器の歴史を知る貴重な成果だとしています。

古代エジプトの王、ツタンカーメンの墓からは鉄製の短剣が発見されていて、イタリアのグループが隕石の鉄から作られていることを確認していますが、短剣の詳しい由来などは分かっていませんでした。

千葉工業大学の松井孝典学長などの研究グループは、可搬型の分析装置を使ってこの短剣の元素を詳しく調べたところ、つかに使われていた接着材の成分は、現在のトルコ付近にあったミタンニという国の周辺で使われていた接着剤の成分と特徴が似ていることが分かったということです。

また、エジプトの古い記述には、ミタンニからツタンカーメンの祖父に鉄剣が贈られたという記録があることから、この短剣は贈り物であった可能性が高いとしています。

さらに、短剣のやいばを分析したところ、鉄を主成分にした隕石に特有の元素の並びが観測できたことなどから、鉄は完全に溶かされておらず、比較的、低い温度で熱して形が整えられたことが分かったとしています。

千葉工業大学の松井学長は「当時、製鉄技術は限られた国にしかなく、貴重な鉄器がエジプトへの贈り物になっていたと見られ、鉄器の歴史を知る貴重な成果だ」と話しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220219/k10013491701000.html
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