どんな人気のシリーズでも、いつかは衰退する宿命にある。その中で「艦これ」は、数少ないロングテールだ。2015年にアニメ(1期)の放送が始まった頃、KADOKAWA取締役会長の角川歴彦氏に「(艦これ人気は)アニメ化でピークになりそうですか?」と水を向けたところ、「いや、艦これはまだまだ伸びますよ」という、力強い答えが返ってきた。
なるほど、その後のメディアミックス展開で「艦これ」は大きく伸びた。でも、まさか2022年になって、アニメ2期が作られるほどの人気とは。ここまでとは、誰も予想できなかっただろう。
ただ、「艦これ」において、アニメ1期は黒歴史といえる。
アニメ1期は原作ゲームに準じたストーリーで、在りし日の艦艇の魂を持つ「艦娘」が、広大なる海に突如出現した謎の脅威「深海棲艦」と戦うという設定だった。
筆者は当初、アニメ版に期待していなかった。キャラ人気がメインのコンテンツなのだから、登場人物が撃沈(戦死)するような展開にはならず、それゆえ戦闘シーンにも緊張感がなくなるだろうと考えていたからだ。
予測は大きく外れた。
序盤、第3話のラストで、人気キャラの如月が轟沈したのである。「キャラ命」の作品なのに、ストーリー展開のため、重要キャラを容赦なく早期離脱させた。筆者はこのとき、良い物語を紡ごうという、制作陣の決意を感じた気がした。
しかし、その期待は見事に裏切られた。続く第4話は悲しみも早々に、なんとギャグ回。以降、戦争しているのか、仲良く喧嘩してるのかグダグダな展開が最後まで続いたのである。
艦娘たちに指示を出す「提督」の扱いも謎だった。「影」として描かれ、セリフもなし。存在感を出したいのか消したいのか、まったくわからなかった。これなら、最初から出さないほうがよかった……と思っていたら、案の定、続編の劇場版ではすっかり存在が消えていた。
もう一つ残念だったのが、制作陣がゲームの基本的な設定をちゃんと把握していないのではないか、と感じられる点がしばしばあったことだ。個人的には、とても良作という評価はできなかった。
本来、「起爆剤」であるはずのアニメが期待どおりでなくても、シリーズ全体とすれば成長を続けたのだから、「艦これ」の底力はわかってもらえるだろう。
https://news.careerconnection.jp/entame/130827/
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