【北京冬季五輪】 ウイグル族の人権侵害の話は「うそ」 組織委の報道官

北京冬季オリンピックで17日、大会組織委員会の報道官が、中国・新疆地区のウイグル族が人権侵害を受けているという主張は「うそ」だと述べ、
政治的な論議が起きている。

この発言をしたのは、大会組織委の厳家蓉報道官。同日の定例記者会見では、台湾は中国の一部だとも話し、注目を集めた。

国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪は政治と無関係であるべきだと繰り返し強調している。

「強制労働はうそ」
ウイグル族に関する厳報道官の発言は、新疆地区で作られた素材が衣類に使われていることについて、記者からIOC側に質問が出た際にあった。

厳氏はやり取りに割って入り、「新疆でのいわゆる強制労働は、意図をもつグループが作り出したうそだ」と述べた。

少数民族ウイグル族をめぐっては、中国当局によって弾圧とジェノサイド(集団虐殺)が行われていると、アメリカが非難している。

中国はこの非難は当たらないと、繰り返し強く主張している。

人権団体も、新疆地区で生産される素材を使っている繊維会社に対し、同地区のウイグル族に対する虐待から目をそらしていると非難している。

中国は虐待は一切ないとし、新疆地区で中国当局が強制労働収容所のネットワークを運営しているという説も事実に反すると訴えている。

台湾についても
この日の会見では、台湾が20日の閉会式に参加するのか、IOCのマーク・アダムズ広報担当に質問が飛んだ。

アダムズ氏が答えると、厳氏は「1つの中国しか存在しない」と続けて述べた。

中国は台湾を自国の領土だとしている。厳氏の発言は、中国の立場を改めて強調するものとなった。
中国は昨年来、台湾を同盟関係にある諸外国から孤立させる動きを強化している。

厳氏はまた、「私たちはずっと、大会の政治利用に反対している。
IOCは206の加盟国があり、中華人民共和国とチャイニーズ・タイペイ・オリンピック委員会も含まれている」と話した。

開会式には参加
台湾は中国の主張を受け、オリンピックなど国際的なスポーツ大会では、チャイニーズ・タイペイの名前で参加している。

今回の冬季オリンピックでは、IOCから開会式と閉会式の両方に参加するよう「数回の通知」を受けたとして、開会式に出席した。

1月の時点では、航空便の遅れや新型コロナウイルス対策のルールを理由に、参加できないとしていた。

今回の冬季オリンピックは、中国の人権問題を理由に、アメリカやイギリスなど西側の国々が外交ボイコットを実施している。
IOCは政治問題を遠ざけようと苦心している。

(英語記事 Human rights abuse stories 'lies', says official)

https://www.bbc.com/japanese/60426532