https://news.yahoo.co.jp/byline/uekusamiyuki/20220218-00282555

年収400万は高給取り? "高給取りの値崩れ"現象が起きている婚活市場の実態

■リーマンショック以降、「600万円」が婚活現場での高給取りに?
バブル崩壊後約30年平均賃金はほとんど上がっていません。一方で消費税や円安による物価上昇で生活は苦しくなる一方です。
Twitterでは「今の若者の間では、年収400万が高給取りだと認識されている」という投稿が共感を集めたこともありました。長引く不景気の中で育った世代は、収入やほしいものに関してあきらめに似た”さとり”を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
では結婚相談所の現場ではどうなのか?年収400万円台は、登録として多い層ではありますが、さすがにエリートや高給取りという認識ではありません。
とはいえ、若者同様に高給取りの値崩れともいえる現象は起こっています。
かつて婚活女性が望む高給取りといえば「1000万円以上」が当たり前でしたが、リーマンショック以降から「600万円以上」という希望が増えてきました。
そもそも年収1000万円とは60〜70代の親世代が年功序列で昇進して稼いだ額が基準になっています。結婚生活を思い描いたときに「自分が育ってきた家庭と同じくらいの暮らしをしたい。だからお父さんと同じくらい稼いでいる人がいい。」という考え方に基づいているのです。
しかし、お父さん世代よりも景気が悪化し、平均賃金も上がっていない今、若い人ほど「 一人でその額を稼ぐのは大変だ」ということを実感しているのではないでしょうか。とくに、失われた20年に生まれた今の20代は、不景気が当たり前で就職してすぐにコロナ禍に突入していますから、より現実を直視する傾向にあります。
共働きの増加で男性が大国柱にならない選択が当たり前になったことも理由のひとつです。厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」によれば、児童のいる世帯の平均所得は745万円。前回の調査より72万円増額となっています。
国税庁調べの全国平均給与は461万円で、男性は567万円、女性は280万円。東京の平均賃金は、男女とも全国都道府県のなかでも最も高い水準で、東京で働く30代女性は平均年収400万円弱が平均値となります。
住まいの場所によっても異なりますが、世帯年収が700万円〜800万円あれば暮らしていけるという考えであれば、そこから自分の年収をさし引いた額を相手にもとめればいいわけですから「600万円以上」は納得感の高い額だといえるでしょう。
■リモートワークの増加が婚活現場での希望年収額の低下を促進?
今後世帯年収はさらに下がっていく可能性はあります。一部では令和の平均世帯年収は500万円台になるとも言われています。
ますます厳しい経済状況となる一方、希望となるのがリモートワークの促進です。
経済省発表の「民間企業におけるテレワークの実施状況」によれば全体的には3〜4割ですが、大企業では常時6〜8割 がリモートというところも多いようです。
実際コロナ以降、出勤するのは月1回だからと、長野、山梨、静岡から新幹線通勤する選択を検討する婚活会員の方も多くいらっしゃいます。
リモートワークが常態化すれば、住宅価格の高い都心のど真ん中に住まなくてもよくなり、働き盛りの世代もより住宅価格が低いエリアへと分散していくはずです。
関東でも千葉県や埼玉県のベッドタウンでは、戸建てが2000万円で買えるエリアもあります。これなら冒頭の例のように、世帯主が年収400万円台で、配偶者がパート勤務で年収200万円弱であっても十分暮らしていける計算になります。
このように婚活の「希望の年収」とは「どこでどう働き、どう暮らすのか?」に直結するもの。決して高給取りでなくても、世帯年収をベースに考え、住まいのエリア の選択肢を広げればよいのです。
一方で婚活現場ならではのマッチングの難しさもあります。その一つが、高収入女性のマッチングの難しさです。
■高収入女性のマッチングの難しさのワケ
世帯年収で考えれば、都心で働く高収入女性ほどマッチングはしやすくなるはずです。
しかし、女性にとって結婚が仕事の妨げになると言われてきた時代が長かったため、いわゆるエリート女性ほど「仕事がひと段落してから結婚」という考えをお持ちです。がむしゃらに働いて、出産年齢ギリギリで結婚相談所にいらっしゃるのです。
結果として、都市部で結婚相談所に来る女性たちは、年収が高くなる傾向にあり自分と同等以上の年収で同世代の男性を望むと、それだけで世間でいう「高給取りの男性」を望むことになってしまいます。