■「見たいところしか見ない」からネトウヨが増える

 【宮台】思わず動いて、困っている相手を助ける。それで相手が喜んでくれ、そのことに自分も喜びを感じる。同じく、自分が困っているときに相手が助けてくれる。それで自分が喜びを感じ、それを相手も喜んでくれる。そういう喜びは、相対的な快楽というより、絶対的な享楽です。至上の悦びです。

 でも、ネットコミュニティの人間関係ではその悦びが得られません。だからネットコミュニティが拡大すれば、人間関係の悦びを知らない人が増えます。

 すると、何が起こるでしょう。人は他者との関係を、プライベートを含めてコストパフォーマンスだけで測るようになります。だから、人間関係において生じる面倒くさいことやわずらわしいことを回避するようになり、対人能力の退行や未発達も進みます。

 その結果、人間関係から生じるノイズをますます怖がるようになり、ネットコミュニティのつまみ食い的な人間関係にますます依存する、という悪循環に陥るわけです。

 このことは、実はネトウヨやオルトライトの増加という現象とも関連します。ネットの特徴は「見たいものだけを見る」ことです。外国人や移民を排斥している人は、自分と同じ主張を持つ人をネットで簡単に見つけられます。

 もしその相手が隣にいれば、その佇まいから、ただの「あさましいクズ」であることがわかるでしょうが、ネットでは「見たいところしか見ない」から、クズたちが、ヘイトだけをフックに軽々とつながれてしまうのです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/61aeacce28488db57cc96dc923506ebeb4dd63ef?page=6
■「感情が壊れた人間」が次々と生み出されている