モアイ像、イースター島に返還へ チリの博物館

【2月22日 AFP】チリの国立自然史博物館(National Museum of Natural History)は21日、南太平洋に浮かぶ同国領イースター島(Easter Island)の先住民ラパヌイ(Rapa Nui)から150年前に奪ったモアイ(Moai)像1体を返還すると発表した。

モアイ像は、ラパヌイの人々が祖先に敬意を表し、1000年以上前に彫った石像。現在はイースター島観光の目玉となっている。

返還されるモアイ像「モアイ・タウ(Moai Tau)」の重さは715キロ。チリ海軍が1870年、3700キロ離れた本土に持ち帰った。その8年後、展示のため自然史博物館に移された。

ラパヌイの人々は長年、モアイ像は祖先の精神を表したものだとして、島から奪われた他の文化財と共に返還するよう求めていた。

自然史博物館は発表で「ラパヌイの人々は、祖先や葬儀・儀式の品々を自分たちの一員のように思っている」としている。同博物館のクリスティアン・ベッケル(Cristian Becker)氏は、モアイ像の返還は「先住民に対する重要な意思表示だ」と述べた。

同博物館によると、モアイ像の返還は新型コロナウイルス禍の影響で当初の予定よりも遅れた。中部バルパライソ(Valparaiso)の港から28日、イースター島へ向けて出発する。約5日で到着の予定。

返還後は、島内の博物館で展示される。

ラパヌイは、英ロンドンの大英博物館(British Museum)に対しても、1868年にイースター島の儀礼の中心地オロンゴ(Orongo)から持ち去られたモアイ像「ホアハカナナイア(Hoa Hakananai'a)」の返還を求めている。(c)AFP

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イースター島から持ち出されたモアイ像「モアイ・タウ」の横に立つ、先住民ラパヌイの代表(左)とコンスエロ・バルデス文化・芸術・遺産相。同館提供(2022年2月21日撮影)。(c)Natural History Museum of Chile / AFP
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