【ロンドン=佐竹実】米メタ(旧フェイスブック)は7日までに、欧州連合(EU)の規制次第では欧州でのサービス継続が難しくなるとの見方を示した。EUは米IT(情報技術)大手への締め付けを強めている。米国へのデータ移管ができなくなれば事業継続は難しく、フェイスブックやインスタグラムなどSNS(交流サイト)が使えなくなると訴えた。

EUの最高裁判所にあたる欧州司法裁判所は2020年7月、米・EUが16年に締結した「プライバシー・シールド」と呼ぶ個人情報移転のルールを無効とする判断を下した。メタは、個人情報をEU域外に移管するための「標準契約条項(SCC)」に基づいてデータを移管しているが、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は20年8月、SCCについても一般データ保護規則(GDPR)に沿わないなどと判断し、データ移管を禁止する仮命令を出した。メタによると最終的な判断は早ければ22年前半に示される見通しという。

メタは3日に公表した21年の年次報告書で、EUの規制に対する見方を示した。「新しい大西洋横断のデータ移管の仕組みが採用されず、SCCや他の代替手段に依存できない場合、フェイスブックやインスタグラムなどのサービスを欧州で提供できなくなると考えられ、当社の事業や財務状況に重大な悪影響を与える」と指摘した。

GDPRは世界で最も厳しいとされる情報管理を企業に求めており、違反した企業には多額の罰金を科している。Zホールディングス傘下のヤフーは1日、英国と欧州経済地域(EEA)で大半のサービスの提供をやめると発表した。4月6日以降、検索サイト「ヤフージャパン」やニュースサイト「ヤフーニュース」が閲覧できなくなる。「コストの観点で、欧州の法令順守を徹底するのが難しくなったため」(ヤフー)としている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07DK40X00C22A2000000/