「イオンと小学校の間の茂みにいる」体重158キロのヒグマは歩行者を引きずり倒して攻撃を加え…〈札幌4人襲撃事件〉

午前5時38分。

既に起床し、朝刊を読んでいた斎藤羊一郎(74)の携帯電話が鳴った。斎藤は「一般社団法人 北海道猟友会」札幌支部で支部長を務めるハンターで、ヒグマ防除隊の隊長でもある。電話の相手は、ヒグマ対策を担当する札幌市環境局の職員だった。用件は想像がついた。だが〈こんな朝っぱらからクマのヤツ……〉と独り言ちながら電話に出た斎藤が耳にしたのは、想定外の内容だった。

「隊長、北十八(条)の東六(丁目)に出た!」

思わず「はぁ!? 何言ってるの?」と間の抜けた声が出た。ハンター歴45年、札幌でヒグマが出没する可能性がある場所は、すべて頭に入っている。だが「北十八(条)の東六(丁目)」といえば、1日約20万人が利用する札幌駅から直線距離で2キロと離れておらず、クマが出ることは、まずありえない場所だった。
https://bunshun.jp/articles/-/52147?page=1