治療してウイルスを抑え込んでいればHIVは感染しない「U=U」 医療現場で広がる応用
https://news.yahoo.co.jp/articles/405d20a545de5ca584de59da55b3db809c22bb51?page=1

HIV感染症は治療法が飛躍的に進歩し、感染しても適切な治療を受けていれば普通に生きられる感染症となった。
薬を飲み続けていれば、検査でウイルスを検出できないほど抑え込める。
さらにこの状態を半年以上維持していると、コンドームなしでのセックスでも
相手に感染させないことが大規模な研究で明らかになっている。
これは「U=U(Undetectable/ウイルスを検出できない = Untransmittable/感染しない)」と呼ばれ、
感染予防のための新しい常識として広がりつつある。

(中略)

早いものではウガンダで415組のヘテロセクシュアルのHIV陽性と陰性のカップルを最長30か月観察したところ、
ウイルス量が1500コピー / ml未満に抑えられていたら、カップルでの感染はなかったというのが
最初に報告された大きな研究です。

1番有名なのは、HPTN052スタディと言われる、南北アメリカ、アジア、アフリカの計9か国と広い範囲で、
主にヘテロセクシュアルで一方がHIV陽性の1763カップルを調べたものです。

この研究はHIVの治療を早く始めるかどうかを示すのが目的です。

HIV陽性とわかってすぐ治療する群と、CD4が350未満になるまで待機してから始める群で観察しました。
すぐに治療をした方が圧倒的にパートナーへの感染リスクは抑えられるということで、
差がつきすぎたのでこの研究は予定より早く切り上げられました。

その後5年以上観察したところ、結果として検出限界値未満に抑えられている陽性者からは
1例も感染しなかったと報告されています。

■「U=U」のエビデンス 同性間の性交渉も検討
ここまでの報告は主にヘテロセクシュアルのカップルでした。
その後、ヨーロッパで888組のヘテロとMSM(男性とセックスする)を組み合わせ、
コンドームなしのセックスで1例も感染しなかったことが報告されました。

さらには、その続きとして、ヨーロッパの782組のゲイカップルで、
7万6000回に及ぶコンドームなしのアナルセックスをしても検出限界未満の人からは1例も感染しませんでした。

こういった報告は枚挙にいとまがなく、合計すると約13万回のコンドームなしのセックス、
異性間、同性間、膣性交に限らず肛門性交のセックスを観察しても、
検出限界未満の人からは1例も感染しませんでした。
エビデンスとしてかなり強固なものになりました。