【パリ時事】
ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロ派支配地域の独立を承認、軍の派遣も決定したことで、ウクライナ情勢の沈静化に向け仲介外交に奔走したマクロン大統領は顔に泥を塗られる結果となった。
4月の大統領選に出馬を表明している野党候補らは格好の攻撃材料とみて、マクロン氏の外交政策が失敗だったと攻勢を強めている。
 
マクロン氏は7日のプーチン氏との会談後、ウクライナ情勢を激化させないようプーチン氏を説得したと成果を語った。
20日には、プーチン氏とバイデン米大統領と相次いで電話会談し、両者から米ロ首脳会談開催の原則合意を取り付けた。
 
しかし翌21日、プーチン氏は親ロ派支配地域の独立を承認。AFP通信は「マクロン氏の試みは失敗した」「フランスの敗北だ」と報じた。 
大統領選出馬を表明している急進左派「不屈のフランス」の創設者メランション氏は「嘆かわしい結果だ」と批判。右派野党・共和党のペクレス候補は「独りぼっちの会談」と皮肉った。

ただ、政治学者のオリビエ・ルカン氏は仏紙レゼコーに対し「今回の危機はマクロン氏に有利に働いた」と分析してみせた。
マクロン氏はウクライナ危機を理由に、大統領選への正式な出馬表明を引き延ばしている。
出馬表明前ならメディア露出の制約がなく、他の候補者に比べ有利だ。
政治コミュニケーションの専門家はAFPに対し「結果がどうであれ、危機解決を試みた点」だけでも、有権者から評価される可能性があると指摘した。努力する姿の印象は悪くはないからだ。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022400133&;g=int