皇室戴く日本にふさわしくない「革命」煽る内閣府の広報誌 男女共同参画をいうならばまず日本の歴史に学べ(夕刊フジ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2c605446f17b8fe45db8732c470d5ff7d7aa886e
https://www.sankei.com/resizer/UkrRBB33nSdyCDaxOJPnqb8qE1E=/730x0/smart/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/XI5IXIZHDFLNLNGOKJJLVDLIHQ.jpg

【国家の流儀】

今年は「ベルサイユのばら」連載開始50年ということで、内閣府発行の広報誌『共同参画』1月号の表紙には、ベルばらの主人公オスカルの絵が掲載されている。

私も小学生の頃、妹からベルばらを借りて読んだことがあったので、何とも懐かしい気持ちになるが、これが無邪気に喜んでもいられなかった。

というのも、オスカルのイラストの横には何と、「フランス革命の次は日本のジェンダー革命だ」という文字が躍っていたのだ。国民の税金で発行されている政府の広報誌の表紙で「革命」を叫ぶとは不謹慎ではないか。王政を打倒したフランス革命に続けとは、皇室を戴く日本にはふさわしくない表現だからだ。

ベルばらの作者、池田理代子さんのインタビューも掲載されているのだが、こちらは実に面白かった。男女共同参画局の林伴子(ともこ)局長が、池田さんから「ジェンダー革命」について賛意を引き出そうとしているのだが、見事に失敗しているからだ。

池田さんは当時の状況をこう語っている。

《当時同じ雑誌に描いていて、同じくらい人気があっても、女性は男性の半分の原稿料しかもらえなかったのです。おかしくないですかと言ったら、「お金に汚い女だ」と言われました》

気を良くした林局長は、女性の積極登用政策への賛同を求めるべく、こう質問している。

《現在、日本のジェンダーギャップ指数は120位で、先進国最下位です。先生が「ベルばら」を描かれた頃よりは、女性を取り巻く状況は良くなったかもしれませんが、他の国に比べれば大変遅れています。この状況でどんなことをすべきか、何が大切だと思いますか》

これに対する池田さんの回答が素晴らしい。

《私は、やはり一つはクオータ制(女性の積極登用政策)だと思います。特に選挙の候補者については絶対に必要なことだと思います。それと同時に女性の方もちゃんと勉強すべきです。男性と対等に論戦を張れるような女性が出てきてほしいと思います》

男性と対等に論戦を張れるような女性が出てくることを前提に、クオータ制に賛成だと述べたのだ。

しかも、日本はもともと男女が支え合う社会だったとしてこうも述べている。

《日本では、男女が一緒に働いて支え合うという歴史は古いと思います。ところが、農村にしろ、漁村にしろ、女性たちが自分たちは働いている女だという自覚があまりなかったのかなと思ったりします。すごく立派な男女共同参画だと思うのですが》

男女共同参画をいうならば、まず日本の歴史に学べと言ったのだ。この広報誌はインターネットでも公開されているので、池田さんのインタビューは広く読んでもらいたい。

■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や国会議員政策スタッフなどを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに従事。「江崎塾」を主宰。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、19年はフジサンケイグループの正論新風賞を受賞した。著書に『日本人が知らない近現代史の虚妄』(SB新書)、『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(扶桑社)など多数。