【シリコンバレー=佐藤浩実、ニューヨーク=中山修志】米アップルがロシアで「iPhone」などの製品販売を中断したことが1日、明らかになった。
複数の米メディアが伝えた。ロシアで同社の通販サイトから製品を購入しようとすると「利用不可」と表示されるという。
米ナイキもロシア国内での商品販売を停止した。ウクライナ侵攻の影響が一般の人たちが購入する消費財にも及んできた。

アップルは米メディアに対し「(ウクライナへの)侵攻を受け、様々な措置を取った。
ロシアでのすべての製品販売をいったん取りやめた」と述べた。
すでにロシア向けの輸出を停止し、決済サービス「アップルペイ」の利用なども制限しているという。

アップルに対しては、ウクライナ政府がロシア国内でのサービスや製品の提供中止を要請していた。
ウクライナのフョードロフ副首相はツイッターを通じて公開したティム・クック最高経営責任者(CEO)への書簡で「テクノロジーは戦車やミサイルに対する最良の解答になる」と指摘していた。

スポーツ用品のナイキも1日までに、ロシア国内で自社サイトでの商品販売を停止した。
同社はロシア語の公式サイトで「通販サイトやアプリでの商品販売は一時的に利用できなくなる」と顧客に通達した。

米フォード・モーターは1日、ロシアの合弁工場での商用車の生産を停止すると発表した。
合弁相手であるロシアの自動車メーカー、ソラーズに事業の停止を通達した。
フォードは19年にロシアでの乗用車の生産を終了し事業を縮小したが、ソラーズの合弁工場で小型商用車を年間1〜2万台規模で生産していた。

フォードは1日、「ウクライナ侵攻による平和への脅威を深く懸念している」と声明を出した。
「ロシア事業を再評価せざるを得ない」と説明し、合弁事業から撤退する可能性も示唆した。

欧州企業では英BPが2月、ロシア石油大手ロスネフチ株の売却とロシア事業からの事実上の撤退を表明した。
米国企業でもロシア事業を見直す動きが急速に広がっている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020840S2A300C2000000/