コロナ第6波で死者数が際立つ大阪の事情
2022/3/5 06:00
https://www.sankei.com/article/20220305-I32HVOEHQNMSXFKFOGGQXBA3TI/

新型コロナウイルスのオミクロン株による感染「第6波」で、大阪府が発表する死者数に歯止めがかからない。

新規感染者数の前週比が減少に転じた2月中旬以降も連日2桁に上り、人口10万人当たりの死者数は全国ワースト。

医療関係者や専門家に聞くと、死者の大半を占める高齢者に関連した大阪特有の事情が浮かび上がる。

府が第6波の始まりとする昨年12月17日以降、2月26日までに発表した死者数は計799人。
厚生労働省の集計によると、全国最多で、2位の東京都(421人)を引き離している。

人口10万人当たりでも大阪が9・04人と都道府県別で1位となり、全国平均3・07人の約3倍。東京(3・00人)との差が際立つ。

◆施設の対応を調査

医療関係者はどうみているか。大阪府医師会の茂松茂人会長は「高齢者施設のクラスター(感染者集団)が一番の問題だ」と指摘する。

府によると、1月に42件758人だった高齢者施設関連のクラスターは、2月の17日間で107件1601人に急増した。
オミクロン株による感染者急増に伴い病床が逼迫(ひっぱく)し、陽性が確認されても速やかに入院できない事情が背景にある。

実際、第6波で2月26日までに判明した死者799人のうち、重症病床に収容されずに亡くなったのは9割近い706人に上る。

◆経済格差も関係か

大阪市立大大学院の城戸(きど)康年准教授(感染症学)は経済格差の観点から分析。
城戸氏によると、英国の研究で貧困地域のコロナ死亡率は富裕地域に比べて約2倍高いという。

コロナ感染は人口が密集する都市部で拡大する傾向にあるが、厚労省の令和2年度統計で全国20の政令市のうち、
千人当たりの生活保護受給者数が最多だったのは、大阪市で49人。堺市は30・2人で3位だった。

貧困で身寄りも少なく、医療にかからない傾向があるとみられる。