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ガソリン補助金、出口戦略課題 給油所歓迎もばらまき懸念 原油高対策

ロシアのウクライナ侵攻の影響で原油価格が一段と高騰する懸念が強まる中、政府はガソリンなど燃料価格の高騰を抑制する補助金の上限引き上げを発表した
 給油所からは歓迎の声も上がるが、原油高がいつ収まるかは不透明。補助金が長期化すれば、異例の政策が際限のない「ばらまき」につながる可能性もある。今後、適切な出口戦略の立案が課題となる。

 上限額は、10日に1リットル当たり5円から25円に引き上げる。これにより、補助金がない場合のガソリンの実勢価格が197円まで上昇しても、全国平均価格を172円程度に抑えるようにする。

 経済産業省によると、ガソリンの実勢価格は7日時点で180円70銭程度になる見通し。上限引き上げが決まった4日、給油所からは「店頭価格の大幅な引き上げが避けられない状況だったので拡充されてよかった」との声が出た。

 ただ、制度は3月末までで、それまでに原油高が収まる確証はない。原油価格が高い状況で制度が終了すればガソリン価格は一気に値上げされる恐れがあり、給油所も「店頭価格の急騰を懸念する消費者が殺到しかねない」と危惧する。

 4月以降の負担軽減策として、国民民主党はガソリン税の一時的な減税、いわゆる「トリガー条項」の凍結解除を求めているが、経産省は補助金制度の延長を検討。さらに価格抑制の目安とする基準額を172円から段階的に切り上げるなど、負担緩和と混乱回避の両立を模索する。

 しかし、原油価格が高騰している状況では「『軟着陸』にもそれなりの期間が必要」(与党議員)。また、「補助金と言っても結局は国民負担。制度が長引けば『なぜ燃料にだけ手厚い補助があるのか』という批判も強まる」(石油業界関係者)との恐れもある。政府は難しいかじ取りを求められることになる。