埼玉5歳児遺棄 「正座で説教を…」虐待通報 市は兆候なしと判断

 5歳男児の遺体を自宅の床下に埋めたとして、埼玉県警は5日、母親で埼玉県本庄市本庄3の派遣社員、柿本知香容疑者(30)ら3人を死体遺棄容疑で逮捕した。いずれも「3人で穴を掘って埋めた」などと容疑を認めているという。県警は司法解剖し、死亡した経緯を詳しく調べている。

 他に逮捕されたのは無職の丹羽洋樹(34)と、無職の石井陽子(54)の両容疑者。内縁関係にある2人が暮らす民家に2021年1月ごろ、柿本容疑者と男児が移り住んできたという。

 逮捕容疑は22年1月中旬ごろ、民家1階和室の床下の土中に男児の遺体を遺棄したとしている。県警によると、同年3月2日、「母子家庭の子どもの安否確認ができない」と本庄市から通報があった。3人に事情を聴いたところ男児を埋めたことを認め、5日に床下から遺体が見つかった。

 本庄市は6日に記者会見し、男児が虐待を受けている恐れがあるとの通報を1件受けていたと明らかにした。ただ、柿本容疑者や男児が通う保育園への聞き取りなどから、虐待の兆候はないと判断していた。

 市によると、通報は21年9月6日で、市内の飲食店から「子どもが正座し、男性から強く説教を受けている。食事も与えられていない。店に来る度に怒られている。母は男性に叱られているところをスマホで撮っている」と伝えられた。

 翌日、市が柿本容疑者に事情を聴くと「言うことを聞かないので同居人に叱ってもらっている」と説明された。保育園からは男児の体にあざはなく、虐待が疑われる様子はないとの回答があったといい、会見で吉田信解(しんげ)市長は「虐待の認識はなかった」と述べた。

 22年1月20日には、柿本容疑者から、男児を保育園から退園させる届け出があり「長男は大阪の実家で元気にしている」と説明。だが、市が2月18日に大阪府和泉市に照会したところ、転居の実態がないことが判明し、県警に相談した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d512f64ee22be71edb9db7c96c14b39492422747