臨時医療施設ガラガラ 誤算重なり使用率7%のわけ

新型コロナウイルス患者を受け入れる大阪府の臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」は1月末の稼働から1カ月がたち、利用が低迷している。6日時点で、自宅で療養・待機中のコロナ患者は府内で8万人近くに上るが、用意した1000床のうち、入所者は67人で、使用率は6・7%にとどまる。背景を探ると、想定外の事態や誤算が重なったことが浮かび上がる。

 「自宅で1人でいるよりも安心だ。医療のケアを受けながら快適に過ごせる」。吉村洋文知事は2021年10月、大阪市住之江区の展示施設「インテックス大阪」で整備が進んでいた療養センターを視察し、意義を強調していた。

吉村知事の肝いり

 施設は、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)した21年夏の第5波を教訓に、吉村知事の肝いりで同年10月末、国内最大規模の計1000床が整備された。医療の手が届かない自宅で感染者が容体を悪化させることを防ぐ目的で、22年5月末までの運営を府内の医療コンサルティング会社などに委託。現在は総勢約80人の看護師が交代で勤務し、医師も常駐する。医療スタッフの人件費を含む施設運営費や、会場借り上げ費、光熱水費として計約78億円を予算計上している。

 府は、オミクロン株による感染が急拡大した22年1月31日に無症状・軽症者用800床を稼働させたが、2週間で入所したのはわずか3人。2月15日からは中等症者用全200床のうち30床を稼働させた。府によると、6日時点で入所しているのは、無症状・軽症者用が60人、中等症者用が7人だけだ。

https://mainichi.jp/articles/20220304/k00/00m/040/340000c