西村京太郎氏、デビュー60年で680冊超の著作残し…70歳で10歳下女性と結婚、湯河原で穏やかに

 トラベルミステリーの第一人者として長く活躍した作家の西村京太郎(にしむら きょうたろう、本名・矢島喜八郎=やじま・きはちろう)氏が3日午後5時5分、肝臓がんのため神奈川県湯河原町の病院で死去した。91歳。東京府荏原郡荏原町(現東京都品川区)出身。「十津川警部」の生みの親として知られ、作品の多くがテレビドラマ化された。出版された著作は700冊近い国民的作家だった。

【写真】テレビ朝日「西村京太郎トラベルミステリーシリーズ」で十津川警部を演じる高橋英樹(左)=写真提供:テレビ朝日・東映

 80歳を過ぎても精力的に執筆活動を続けた西村さんが作家人生に静かに幕をおろした。1996年1月に脳血栓で倒れ、左半身にマヒが残ったものの懸命なリハビリの効果で執筆を継続。車いす生活ながら元気に暮らしていた。関係者によれば、昨年末から体調を崩して入院していた。

 東京府立電気工業学校(東京都立鮫洲工業高等学校の前身)を卒業後、人事院に就職。11年勤務した後に退職し、トラック運転手や保険外交員、私立探偵などを経て作家生活に入った。西村京太郎というペンネームは、人事院時代の友人の名字と、「東京出身の長男」という意味を合わせたものだ。

 61年に「黒の記憶」でデビュー。65年には「天使の傷痕」で江戸川乱歩賞を受賞した。社会派推理小説やスパイ小説など幅広い作風で知られたが、78年に発表した「寝台特急殺人事件」が大ヒット。ここから本格的にトラベルミステリーを書き始め、1つのジャンルを形成した。

 練りに練ったトリックやアリバイ工作がファンの熱い支持を集め、「十津川警部と亀井刑事」の名コンビ、「左文字進」といった人気キャラクターを生み出した。作品の多くがテレビドラマとなり、特に「十津川警部」モノはテレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレビ東京と局の垣根を越えて制作され、テレ朝とTBSの作品は息の長い人気シリーズとなっている。

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