南太平洋・トンガ諸島の海底火山が1月に噴火した際、大気中に放出された二酸化硫黄(亜硫酸ガス)による世界の気温低下はわずかとみられ、気候への影響は小さいと、中国科学院大気物理研究所などの研究チームが7日までに発表した。

コンピューターによるシミュレーションの結果、噴火後1年間に世界の平均気温(海上気温は海面水温で代替)が低下する幅は0.004度と推定され、年間平均気温が自然に変動する範囲内という。<下へ続く>

 ただ、南半球は北半球より影響が大きく、オーストラリアや南米では低下幅が0.01度を超える所があるとの見方を示した。論文は大気科学の専門誌「アドバンシズ・イン・アトモスフェリック・サイエンシズ」に掲載された。

 算出方法などが違うため単純比較はできないが、2021年の世界平均気温は20年までの30年間平均値を0.22度上回ったと日本の気象庁が発表している。地球温暖化で近年は0.3度超上回る年もある。これらに比べ、相対的に噴火の影響は小さいと考えられる。

 海底火山「フンガトンガ・フンガハアパイ火山」が1月15日に噴火した際、放出された二酸化硫黄は、欧州の地球観測衛星「センチネル5P」による観測で約40万トンと推定された。

 成層圏に上がった二酸化硫黄は大気中の化学反応で微粒子となり、太陽光を散乱するなどして気温を低下させることが知られており、同研究チームは過去の世界各地の大噴火の例を踏まえてシミュレーションした。

 記録的な冷夏をもたらした1991年のフィリピン・ピナトゥボ火山噴火の場合、二酸化硫黄の放出量は約2000万トンに上り、世界年間平均気温は0.2〜0.3度低下したという。

https://www.jiji.com/sp/article?k=2022030700773&;g=int