男女の賃金格差が埋まらない。とりわけ日本は欧米に比べ格差が大きく、1年間で女性は男性の74%しか稼げていない。管理職や高収入の専門職に女性が少ないことが主因だ。8日は女性の社会進出のため国連が定める国際女性デー。危機感を抱く日本企業では格差を調べたり昇級の差をなくしたりする動きもある。

2020年にフルタイムで働いた日本の労働者の所定内給与は男性が33万8800円だったのに対し、女性は25万1800円にとどまった。

中略

■賃金格差が大きいほど労働生産性低く

見過ごせないのは、男女の賃金格差が大きい国ほど労働生産性が低いことだ。女性が職場で能力開発の機会を得られず、賃金格差が生じる環境を放置することが経済成長を損ねる恐れがある。

米スタンフォード大学の研究者らの分析(19年)では、米国の1960〜2010年の国内総生産(GDP)成長のうち、20〜40%は優秀な女性や黒人が労働市場に加わったことが寄与した。職業選択が自由にできなかった層が活躍することで成長が押し上げられた。

危機感を覚える日本企業も是正に取り組む。

損害保険ジャパンは20年、転勤がある全域型と転勤なしの地域型に分けていた昇格の差をなくした。地域型は女性が98.8%を占めていた。どちらも総合職だが、地域型は全域型より昇格が4年程度遅い設計だった。仕組みを一本化し、転勤ありを選んだ場合のみ給与を上乗せすることにし、人物本位の評価を賃金に反映できるようにした。

帝人は20年度、国内外の主要グループ企業で男女の賃金格差の調査を始めた。基本給や手当、ボーナスなど計算方法も細かく指定している。

後略

日本女性、男性の74%しか稼げず 賃金格差の解消に遅れ:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE215NE0R20C22A2000000/