<記者だより>あるホームレスの死

大雪が降った一月六日夜、川崎市の多摩川大橋の下に暮らす七十歳の男性が火災で亡くなった。
後日訪れると、黒く焦げた壁にリヤカーやテレビの残骸、積み上がるタイヤが、なおも生活の跡を物語っていた。
ガスこんろが火元とみられる。「以前は人が住んでいたのに…」。散歩で通り掛かった高齢の男性が、心配そうに見つめていた。
 野宿者を支援する水嶋陽さんによると、男性は学校でいじめられた経験に苦しみ、職が定着しなかった。
ただその気持ちは、生き残ってやるという執念にもつながっていた、とみる。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/162563