コザクラインコの〝昇天姿〟にびっくり！ 動物行動学の専門家に聞く「小鳥の睡眠ってどうなってるの？」
3/8(火) 11:30配信
もし我が家の愛鳥だったら大声で叫んでいたかもしれません。優さん（＠ＹｕｚｕＳｕｄａｃｈｉ４７９５）が飼っているコザクラインコのランちゃん。プラケースの中にひっくり返って、冷たくなっているかのようですが、動画に添えられたコメントは「心臓に悪い…けど可愛い」です。
北海道で酪農を営む優さんが牛舎に行っている間に、娘さんから届いたのがこの映像。「死んでるのかと思ってびっくりしたそうです。今までこんな寝方をする子はいなかったから」。優さんはそう振り返ります。
２０１８年、ホームセンターのペットコーナーで出会った２羽の小鳥に優さんは一目惚れ。コザクラインコは「ラブバード」と呼ばれるように人懐っこく、それまでセキセイインコと文鳥の飼育経験があった優さんは、すぐその場でお迎えを決めたそうです。
室内で放鳥すると甘えてくるラブバードにすっかり魅了された優さん一家は、その後新たに２羽を迎えます。その２羽がつがいになり、子供が増えて、ランちゃんは１月に誕生したばかりの８羽目の子供。まだ飛び始める前なのでプラケースを寝床にしているそうですが、これまで育てた７羽の幼鳥期はうずくまるような寝姿で、まさかの〝昇天姿〟に娘さんが驚いたのも当然でしょう。
そういえば鳥っていつどこで、どうやって寝ているのでしょうか？ 小鳥の飼育に縁遠い私は、スズメは電線に止まって寝ているのだと思っていましたが…。動物行動学が専門の摂南大学農学部助教・池田裕美先生、教えてください！
「インコは通常、首を後ろに向けて羽の中に顔を埋めるようにして眠ります。木の上で片足を上げ一本足で立って眠りますし、お腹を地面にくっつけて眠ります。種によってはコウモリのようにぶら下がって眠ることも。鳥類は仰向けになると大人しくなる性質を持つので、何かの拍子でコテンと寝転んでみたら落ち着きそのまま眠るパターンもあります。行動学的に睡眠は休息行動の一つです」
―目を開いていますが、眠っているのですか？
「映像のような〝昇天ポーズ〟をするのは、死んだふりをしていることも考えられます。いわゆる外敵対策で、危険が迫ったときに身体を硬直化させて死んだふりをして、相手が油断した隙に飛んで逃げることもあるので触ろうとしたら飛び上がることもしばしばです。いわゆる防衛本能ですので、幼鳥に見られても不思議ではないと思います。これは護身行動に分類され、あまり刺激しない方が良い状態です」
「鳥の睡眠について付け加えると、日中の睡眠時間の大半は「半球（はんきゅう）睡眠」です。「球」は脳の意味で、文字通り脳の半分だけ寝ていて、もう半分は起きている状態。右脳は左半身、左脳は右半身をコントロールするので、目も寝ている脳の反対側はつむっていて、起きている脳の反対側は開いています。人間のノンレム睡眠のように完全に脳が休息している時間もあるのですが、１日に１０時間前後の睡眠のうち数十分～数時間程度。飼育環境や種類にもよるので様々な研究がなされているところです」
―ずっと完全睡眠した方が楽なのに…。
「半球睡眠の理由は、こちらも外敵から身を守るためです。脳を左右交互に半分は休ませ、もう半分で身を守るのです。イルカも半球睡眠するのですが、こちらは肺呼吸するので完全に眠ると窒息してしまうからというのが理由の一つのようです」
「インコは昼行性で暗くなると寝ます。映像は明るい時のものですので、普段は起きているかうたた寝の時間でしょう。映像ではもう片方の目が確認できないのですが、つむっていれば居心地の良い状態で半球睡眠、開いていれば死んだふり、ということですね。明らかに様子がおかしいのであれば病気の可能性もありますが、それも含めて休息行動と護身行動のどれにあたるかじっくり観察してみることで、よりランちゃんの気持ちを理解し仲良く幸せに過ごせるとうれしいですね」
https://news.yahoo.co.jp/articles/955ec91bd09a5095d15117d4e222a14235e960de
