ロシア国防省は8日、同日午前9時(日本時間8日午後4時)から、ウクライナの首都キエフなど5都市に限り、民間人退避のため、
一時的に攻撃を停止したと発表した。ロイター通信などによると、ウクライナ側が設けた退避ルートは露軍の砲撃を受けた。
露軍の「一時停戦」は総攻撃に向けた準備の一環とみられており、住民退避は時間との闘いの様相を呈している。
ロシア側が、民間人の退避ルートを意味する「人道回廊」の設置を公表するのは2日連続だ。
北東部チェルニヒウが新たに追加され、計5都市の退避ルートの大半は前日と同様、ロシアやベラルーシに向かう設定となった。
ロシアへの恐怖心と敵意を強める住民がロシア行きルートで退避に応じる可能性は低いとみられる。
このため、ウクライナ国営通信によると、ウクライナ側は、北東部スムイと南東部マリウポリから住民を退避させる二つのルートについては、
露軍側と合意が成立したとしてバスを用意し、住民を脱出させた。スムイを出発した外国人留学生ら約1000人は東部ポルタワに到着した。
ロイター通信などによると、いずれの退避ルートでも道路が砲撃された。スムイでは7日夜、住宅街に空爆があり、子ども2人を含む9人が死亡した。
露軍は南部や東部でも攻勢をかけており、今後、「人道回廊」を設けると表明した地域への攻撃も再開するとみられる。
タス通信によると、露国防省高官は8日、ロシアが用意した退避ルートの利用をウクライナ側が「全て拒否した」と非難した。
米政策研究機関「戦争研究所」は7日に発表した戦況の分析で、露軍が「96時間以内にキエフへの総攻撃を開始する」可能性を指摘した。
米国防総省高官は7日、記者団に対し、露軍がウクライナ周辺に集結させた15万人超の部隊のうち「ほぼ100%を投入した」との見方を示した。
シリアで雇い兵を募る動きがあることも明らかにした。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220308-OYT1T50235/