うつ病休職者の8割が病気にあらず、コロナで急増の「社会的うつ」の正体

奥田氏によれば、「過重労働、パワハラなどの職場の問題でストレスをため、悩んでいる人が自覚する、うつ病に似た軽い症状が、
医学的な診断基準に該当しないのに、軽症の『うつ病』と診断され、会社を休職すること」だという。

つまり、仕事が原因で軽くうつっぽくなった人が精神科や心療内科に行って軽症の「うつ病」の診断書をもらい、
うつ病休職者となることを指す言葉が「社会的うつ」なのだ。しかし、重症化する前に休めるのなら真性のうつ病よりもいいような気がする。
ところが、社会的うつは深刻な問題をはらんでいると奥田氏は指摘する。

「『うつ病の診断書』という免罪符によって、職場の問題が労働者の『心の病』という個人の問題に安易にすり替えられている。
過重労働やパワハラから、不当人事、違法な退職強要まで、さまざまな問題がまったく改善されることなくです。
企業は労働問題の解決をなおざりにしたまま、対外的に健康経営をアピールするために、メンタルヘルス対策を充実させている。
しかし、充実させるほどうつ病の患者数は増加し、うつ病休職者が増えるという皮肉な現象が生じているのです。

ところが、実際はうつ病ではない人がうつ病で休職し、『心の病を患った人』というレッテルを貼られることは、
その後のキャリア形成に悪影響を及ぼします。また、休職中の休業補償は企業と国の折半です。
『社会的うつ』によって国も社会も経済的な損失を被っています」(奥田氏)

https://diamond.jp/articles/-/244131?page=4